連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第38話「消えた紙芝居」

布美枝「精霊船(しょうろうぶね)は どこに流れていくのか 聞いたんですよ。 『ご先祖様のいる 十万億土だ』って 言っちょ~ました。」

茂「十万億土かあ…。 目には見えん もう一つの世界が どこぞにあるんだな。」

布美枝「ええ。」

茂「お化けも妖怪も 目には見えんが ちゃんとおる。」

回想

少年「『べとべとさん』も『ひだる神』も 目には見えんけど ちゃんとおる。」

布美枝「見えんけど おる。」

少年「こっちに 来い。」

回想終了

茂「ああ いけん。 話し込んで時間が過ぎた。 急がんと夜が明ける。 ほれ 仕事 仕事。」

布美枝「はい。 あの…。」

茂「何だ?」

布美枝「昔… うんと昔ですけど。」

茂「ああ。」

布美枝「『べとべとさん』に追われとった 女の子 助けた事ありませんか?」

茂「ん? 女の子…。 そういえば そげな事が…。」

布美枝「ありましたか?」

茂「あったような…。」

布美枝「はい。」

茂「なかったような…。」

布美枝「え?」

茂「覚えとらんな。」

<遠い昔に出会った少年が 茂だったかどうか それは謎のままでしたが 茂と のんのんばあの思い出が 私 祖母 登志との思い出と重なって 布美枝は また少し 茂という人に 近づけたような気がしていました>

<秋には 『墓場鬼太郎』の 2作目 3作目が 貸本屋の店頭に並びました>

こみち書房

キヨ「(小声で)借りてけ 借りてけ 借りてけ 借りてけ。」

客「これ お願いします。」

美智子「はい 3冊で30円。」

徳子「ちょっと ちょっと! あ!」

和枝「美智子さん 今の人さ!」

靖代「布美枝さんの旦那の本 借りてったね。」

徳子「張り紙の効果あったじゃない!」

キヨ「本が面白いんだよ。」

和枝「おばあちゃん 読んだの?」

キヨ「当たり前だろ!」

美智子「私も! 一気に読んじゃった!」

靖代「あら珍しいわね いつもは 貸すのが忙しくて 読んでる暇なんかないって 言ってるのにねえ~!」

美智子「この本は 特別。」

徳子「でも 悪いけど名前がねえ。 お客さんに話したら 『墓石屋の話か』だって! ハハハ!」

女達「『墓場鬼太郎』だもんね!」

美智子「そうなのよ!」

杉浦音松「『墓場鬼太郎』?」

(笑い声)

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