連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第48話「父の上京」

飯田家

いずみ「うわ~っ 何か 怖いね。」

邦子「あら ほんとですね。」

いずみ「うん。」

源兵衛「ちょっと見ただけで 何を言うとる。」

いずみ「え?」

源兵衛「読んでみい なかなか ええぞ。」

いずみ「ふ~ん。」

ミヤコ「どげでした?」

源兵衛「おお。 向こうの蔵元 3軒ほど回ってな 酒屋組合の人とも 深く親交…。」

ミヤコ「布美枝ですよ! 元気にしちょりました?」

源兵衛「おお… 元気だったぞ。」

ミヤコ「家は どげでした?」

源兵衛「家は… 思ったより 小さかったな。 東京の外れだけん 周りは 畑ばっかりだ。」

ミヤコ「買い物なんか 困っとるんじゃな~でしょうか?」

源兵衛「それが 近くに ええ商店街がある。 布美枝の奴 そこの人達と がいに 仲ようしよったぞ。」

ミヤコ「まあ あの内気な子が 知らん土地の人と…?」

邦子「よかったですねえ。」

ミヤコ「うん。」

邦子「お正月は 戻ってこられるんですか?」

源兵衛「里帰りか?」

ミヤコ「結婚して 初めてのお正月くらいは 帰ってきてもらわんと いけませんわ。」

源兵衛「う~ん… あの様子では 無理かもしれんな。」

邦子「あら~。」

ミヤコ「汽車賃にも 困っとるんですか?」

(戸の開く音)

貴司「ただいま~。 村井さん 仕事の方は どげだった? 東京は 物価も高くて 大変だろう?」

源兵衛「おう。」

貴司「えっ こんなの描いとるのか?!」

いずみ「うん。」

源兵衛「出版社の人が褒めとったぞ。 『いずれは 大当たりするかも しれん』と言っとったわ。」

2人「へえ~」

貴司「ちょ ちょっと 最初から…。」

ミヤコ「着る物なんか どげしとるんでしょう。 困っとるようなら 私の着物を 仕立て直して…。」

源兵衛「いや ええ。」

ミヤコ「里帰りの汽車賃くらいは 送ってやっても…。」

源兵衛「やりくりは 布美枝に任せとけばいいんだ。 もう 別の所帯を構えとるんだ。 親が あれこれ 口出す事な~わ。」

ミヤコ「けど… 心配ですよ 親ですけん。」

源兵衛「あいつ… 笑って暮らしとったぞ。」

ミヤコ「え?」

源兵衛「何もかも順調とは いかんだろうが 笑って暮らしとるのだけん… 大丈夫だ!」

ミヤコ「そげですか 笑っとりましたか…。」

(一同の笑い声)

源兵衛「お 食え。」

(鳥の鳴き声)

<年が明け…>

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