平祐「花子さんは いつまで 仕事を続けるつもりなんだ…。」
郁弥「父さんこそ いつまで そんな事 言ってるんだよ。」
平祐「お前は ちゃんと家に入る女性と 結婚しなさい。」
郁弥「僕は 出会った瞬間から かよさんと結婚するって 心に決めてますから。」
花子「郁弥さん?」
郁弥「あっ…。 ちょっと いいですか? (小声で)実は 明日 求婚するつもりなんです。」
花子「てっ! 明日?」
郁弥「明日は 彼女のバースデーですよね。」
花子「ええ。」
郁弥「だから かよさんが カフェーで 働いているところに サプライズで」
花子「ああ…。」
郁弥「たとえ 父さんが反対しても 僕の決心は揺らぎませんから。」
平祐「反対なんかしないさ。 あの子はいい。 家事も手際もいいし 料理もうまい。 何より働き者だからな。」
郁弥「ワンダフル! 賛成してくれてよかった。」
郁弥「ただし 結婚式は 東京で挙げろ。」
郁弥「えっ…。」
平祐「また 甲府で挙げる気なら 『異議あり!』と言って 暴れてやるぞ。」
郁弥「またですか。 かよさんには 明日まで黙ってて下さいね。」
花子「ええ。 郁弥さん 頑張って!」
郁弥「はい。」
村岡家
縁側
花子「歩 やっと寝たわ。 明日 郁弥さん うまくいくといいわね。」
英治「ああ。」
(風鈴の音)
英治「花子さん。 母の形見なんだ。」
花子「すてきなカメオ…。」
英治「これは 一度 香澄が母から受け継いだもので 彼女が亡くなる前に 郁弥に託したんだ。 郁弥が僕にくれたんだ。 花子さんに渡すようにって。 あの時 郁弥が背中を押してくれたから 僕は 君と歩と こんなに幸せな家庭を持てた。 これ… 花子さんに持っていてほしい。」
花子「ありがとう。 大切にします。」
カフェー・ドミンゴ
玄関前
郁弥「よし。」