連続テレビ小説「花子とアン」第107回「涙はいつか笑顔になる」【第18週】

寝室

居間

英治「火災が ようやく収まったって 聞いて 銀座に向かったんだ。 銀座の町は 見る影もなく 辺り一面 すっかり燃えてしまっていた。 かよさんと君が住んでいた長屋も 跡形もなかった。」

英治「郁弥とかよさん… どこかに避難してるんじゃないかと思って 避難所を一つずつ 回っていったんだ。 新橋 京橋 日本橋辺りまで 捜しに捜して ようやく 築地のお寺で かよさんを見つけたんだ。」

花子「お寺で?」

英治「そのお寺で… 郁弥が埋葬されるのを 見届けてくれたようだ。」

平祐「郁弥は… 本当に逃げ遅れたのか? そんな事 どうして分かるんだ? もう一度 捜しに行く! 今度は 私も行く。」

英治「父さん…。」

平祐「捜してみなきゃ 分からないじゃないか! そうだ…。 会社の連中にも手伝ってもらおう。 郁弥がいないと困るだろう。 えっ? これから 村岡印刷 立て直すのに…。」

英治「父さん! 郁弥は もういないんです! あの一帯にいた人たちは みんな 助からなかったそうです…。 店の近くで かよさんは見つけたそうです。 郁弥の時計を…。 何もしてやれなかった…。」

(泣き声)

徳丸商店

<甲府では 花子たちの安否が 一切分からぬ状態で 皆が不安に暮れておりました。>

徳丸「おう。 呼びぃ行かしたのは ほかでもねえ。 震災のこんだけんど…。」

吉平「徳丸さん! 東京は どんな状況でえ? 大震災から3日たっても 新聞も届かんし 電報も打てんから 子どもたちの無事も分からん!」

朝市「役場でも 状況は 分からんみてえですし!」

ふじ「何でもいいから 教えてくりょう! 東京は… 大森は どんな様子ずらか!?」

徳丸「まあ 落ち着けし! その… 大森ってとこの状況は 分からんけんど 銀座や東京の東の方は 建物が倒れたあと ひでえ火事が起こって 辺り一面 焼け野原だとう。」

ふじ「てっ!」

吉平「てっ… 銀座が…。」

朝市「村岡さんの会社 銀座にあるじゃなかったけ?」

ふじ「かよの長屋もカフェーも銀座じゃん!」

徳丸「東京で地震に遭って逃げてきた うちの衆が ほう言ってるから 残念だけんど 恐らく ほうずら…。」

リン「ふじちゃん…。」

朝市「かよちゃん…。 はな…。」

リン「大丈夫さよ! 『便りがねえのは いい知らせ』っていうじゃんけ!」

武「お父様。 準備ができました。」

徳丸「おう。 東京は ほんな ひでえ状況だ。 きっと みんな 食うに困ってるはずだ。 これっから 東京のお得意さんとこに この物資を届ける。」

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