スタジオ
花子「全国のお小さい方々 ごきげんよう。 これから 皆様方の新聞のお時間です。 満州でお働きの兵隊さんを お助けして いろいろな手柄を立てる 犬の兵隊さん。 すなわち 軍用犬のお話は つい この間も 申し上げましたが 陸軍では この4月から 5年掛かりで この軍用犬を どしどし育てる事になりました。 そこで軍用犬の学校が…。」
漆原「また 原稿直したのか。」
黒沢「…はい。」
花子「満州の公主嶺という所に出来 利口で勇ましい性質の犬を…。」
村岡家
玄関
花子「ただいま帰りました。」
英治「花子さん お帰り。」
花子「何か あったの?」
英治「旭君が倒れたんだ。」
花子「えっ…。」
居間
もも「旭さん ずっと せきをしていて 熱も下がらないから 病院で診てもらったら 結核でした。」
花子「結核…。」
もも「入院して 経過見てみないと よく分からないって…。 でも よくないみたいで…。」
花子「そんな…。」
もも「お姉やん。 しばらくの間 美里を預かってもらえませんか?」
花子「もちろん いいわよ。」
もも「助かります。」
花子「もも…。 お姉やんに遠慮なんかしないで。」
もも「ありがとう…。」
夜
花子「旭さんとも結ばれて こんなかわいい赤ちゃんも 授かって… これからって時に どうして ももだけ あんな悲しい思いをしなきゃ いけないの?」
英治「旭君が一日も早く よくなってくれる事を祈ろう。」
花子「ええ…。」