JOAK東京放送局
スタジオ
進藤「国民の方々 ラジオの前にお集まり下さい。 いよいよ その時が来ました。 国民総進軍の時が来ました。」
カフェー・タイム
進藤『政府と国民が がっちりと一つになり 1億の国民がお互いに手を取り 互いに助け合って 進まなければなりません! 政府は 放送によりまして 国民の方々に対し 国家の赴くところ 国民の進むべきところを はっきりとお伝え致します! 国民の方々は どうぞ ラジオの前にお集まり下さい。 放送を通じて 政府の申し上げまする事は 政府が全責任を負い 率直に正確に 申し上げるものでありますから 必ず これを信頼して下さい!』。
JOAK東京放送局
スタジオ
進藤「そして 放送によりお願いします事を 必ず お守り下さい! ご実行下さい! 今晩から 国民に早くお知らせ致さねば ならぬ事がありましたならば 毎時間の最初に放送しますから どうか 毎時間の初め…。」
廊下
有馬「あんな… 雄たけびを 上げるかのように原稿を読んで…。」
花子「えっ?」
有馬「原稿を読む人間が 感情を入れてはいけない。 それを あんな 一方的に押しつけるような…。」
花子「有馬さん…。」
有馬「今日から ラジオ放送の在り方は 変わってしまう…。」
スタジオ
進藤「国民一つになって 総進軍致しますところ 烏合の衆である敵は いかに大敵でありましても 断じて 恐るるところはありません!」
漆原「すばらしい放送でした。 感動しました!」
廊下
漆原「まだ いたのかね。 ああ… こちらは 子ども向けの番組を担当する 村岡花子女史です。」
黒沢「語り手として 子どもに大層人気のある先生です。」
進藤「国論統一のために 今後一層 ラジオ放送は重要になります。 放送を通じて 子どもたちを よき少国民へと 導く事を期待します。」