花子「あの…。 漆原部長。 黒沢さん。 お話があります。」
黒沢「どうなさったんですか?」
花子「今日限りで 『コドモの新聞』を 辞めさせて頂きます。」
黒沢「なぜですか?」
花子「私の口から 戦争のニュースを 子どもたちに放送する事は できません。」
漆原「村岡先生…。 たった今 情報局情報課長から あんなに ありがたいお言葉を 賜ったばかりでしょうが!」
花子「それで決心がつきました。」
黒沢「村岡先生…。」
漆原「いいでしょう…。 お辞め下さって結構です。 ラジオを通じて 国民の心を 一つにしようという時に…。 あなたは 所詮 『ごきげんよう』のおばさんだ!」
花子「有馬さん。 後をお願いします。」
有馬「私は 感情を込めず 正しい発音 活舌に注意して 一字一句 正確に 原稿を読み続けます。」
花子「お世話になりました。」
有馬「お疲れさまでした。」
黒沢「村岡先生。 これ 持っていらして下さい。 村岡先生宛てに届いた 子どもたちからの手紙です。」
黒沢「お考えは 変わりませんか?」
花子「はい。」
黒沢「そうですか…。 残念です。」
花子「申し訳ありません。 9年間 お世話になりました。」
<日本は とうとう 大きな曲がり角を 曲がってしまいました。 ごきげんよう。 さようなら。>