台所
もも「反省中?」
美里「もも叔母様…。 私って どうして こうなのかしら。 カ~ッとなると 自分を 抑えられなくなってしまうの。」
もも「お母様の大切なお客様だから ちゃんと謝らなきゃね。」
美里「でも 許せない事は許せないわ。」
もも「そういうとこ お姉やんそっくりだね。」
美里「えっ?」
もも「お姉やんも 小さい頃から カ~ッとなると 自分を抑えられなくなって 幼なじみの朝市さんにも 『はなは 怒ると おっかねえ』って 言われてたの。」
美里「でも… 私の本当のお母様は もも叔母様なんでしょう?」
もも「ええ。 生みの親は 私よ。 でも 美里ちゃんも よく分かってるでしょう? お姉やんは 美里ちゃんを 心から愛してる。 あんなに あなたの事を思ってる人は 世界中で2人だけよ。」
美里「お母様とお父様?」
もも「そう。 後で お母様に ちゃんと謝らなきゃね。」
書斎
美里「あの… お母様。 さっきは ごめんなさい。 お母様のお客様に あんな失礼な態度を とってしまって 反省しています。」
花子「そうね。 いくら 頭に来たからといって 目上の人に対して ああいう態度は よくないわね。 美里も もう大人なんだから わきまえないと。」
美里「本当にごめんなさい。」
花子「でも… 正直言うと 少しすっきりした。」
美里「えっ?」
花子「美里が怒ってくれなかったら お母様が怒ってたかもしれない。 読まずに原稿を突き返すなんて ひどいわよね。」
美里「お母様…。 それからね…。」
花子「何?」
美里「私… お母様の娘でよかったわ。 自分でも 困った性格だと 思う事もあるけど 私は 自分のほか 誰にもなりたくないわ。」
<その夜 遅くなってからの事でした。>
廊下
英治「誰か いるみたいなんだ。」
花子「こんな時間に?」
美里「今日は 休館日なのに…。」
歩文庫
英治「誰か いるんですか?」
花子「門倉社長… 小泉さん。」