寝室
はな「『まるで この小さなマッチの炎が この子には 大きな たき火のように思いました』。 みんな どけえ行ったずら…。 遅いじゃんね。」
川
はな「ひやっ 冷てえなあ…。 おはようごいす。 おまんらも 早起きじゃんね。」
はな「あっ… 朝市。 おはよう。」
朝市「おはよう。 はな 元気ねえじゃんけ。」
はな「私 帰ってこねえ方が よかったのかな…。 長い間 うちに帰らなかったから もう 私の居場所なんて なくなっちまったみてえで…。 うまく言えないけど かよも兄やんも 何か 壁があって…。 ああ… 朝市もだけど…。」
朝市「はなは 何にも分かってねえ。 かよちゃんのこんも 何も分かってねえじゃんけ。」
はな「かよが どうしたの?」
朝市「黙ってろって 口止めされたけんど…。」
はな「教えて 朝市。」
朝市「かよちゃん…。」
はな「何?」
朝市「年明けたら すぐ 製糸工場の女工になるだ。」
はな「女工…。」
<5年ぶりに故郷に帰ってきた はなを待っていたのは 冷たい空っ風と 厳しい現実でした。 ごきげんよう。 さようなら。>