ふじ「はな。 みんな 心ん中で応援してるだよ。 かよも 吉太郎も。 東京の立派な学校で頑張ってる はなのこん 思うと 誇らしい気持ちになって みんな 力が湧くだよ。 ここいらで 惨めなこんがあっても おらたちには はなみてえな家族が いるっちゅうだけで 勇気が出るだ。」
はな「ふんだけんど おらだって 家族の役に立ちてえ。 みんなが苦労してるだに おらだけ 勉強さしてもろうなんて…。」
吉太郎「分からんやつじゃ! はなが 今 やめたら おかあたちの これまでの苦労が 全部 水の泡じゃんけ!」
はな「兄やん!」
吉太郎「畑 見てくる。」
周造「キチ!」
はな「畑行くなら おらも…。 地主さんに 働き口なんかねえって断られただ。 畑なら おらも手伝えるから…。」
吉太郎「さっさと 東京帰っちめえ。 ここにいられても 食いぶちが増えるだけずら。」
周造「キチ…。 キチ!」
かよ「な~んだ。 地主さんに断られただけ…。」
玄関
はな「兄やん!」
周造「はな。 自分の手 見てみろし。 ほの手は もう 百姓の手じゃねえ。 ほの手は 米を作るより わしらが作れんもんを作るのに 使えし。 みんな ほう思っとるだ。」
はな「おじぃやん…。」
道中
ふじ「ほいじゃあね。」
かよ「お姉やん。 お嬢様たちに負けるじゃねえだよ。 一番取らんと 承知しんよ。」
はな「かよも 体に気を付けて 頑張るだよ。」
かよ「うん。」
はな「じゃあ 行ってきます。」
ふじ「はな! こぴっとするだよ!」
はな「朝市。」
朝市「持つじゃん。」
もも「お姉やん! 元気で。」