修和女学校
教室
はな「Kisses her. 『ジュリエットに 接吻する』。 Thus from my lips, by yours, my sin is purged. 『ほら あなたの唇のおかげで 私の唇の罪が清められました』。」
富山「そこまでで結構です。 この先は 割愛して 次の章へ移ります。」
はな「待って下さい! ここは ロミオとジュリエットが愛を確かめ合う 大変 重要な章だと思うんです。」
富山「授業の教材として ふさわしくないと言ってるんです。」
はな「どうして ふさわしくないんですか?」
富山「もう いいでしょう。 あなたのように 授業の進行を 妨げる生徒のせいで このクラスは ただでさえ遅れてるんです。 さあ 次へ進みますよ。」
蓮子「『やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君』。」
富山「何ですか その歌は。」
蓮子「与謝野晶子です。」
富山「そんな事を 聞いてるんじゃありません。 英語の授業中に なぜ 短歌なんか…。」
蓮子「なぜかしら? 今のやり取りを聞いていたら 急に この歌が 頭に浮かびましたの。」
富山「あなたまで 授業の邪魔をするんですか?」
蓮子「先生は 男女の恋愛を 汚らわしいものだと 決めつけて いらっしゃるようですね。 それは ご自身の恋愛経験が 乏しいからでは?」
(どよめき)
富山「何を言うの? あなたは 教師を侮辱するんですか!」
蓮子「いいえ。 客観的な感想を述べただけです。」
富山「出て行きなさい! Go to bed!」
蓮子「では お先に。 ごめんあそばせ。」
<どうやら この編入性 富山先生より 一枚も二枚も うわてようですね。 ごめんあそばせ。 ごきげんよう。 さようなら。>