はな「あっ 待ってくりょう。 よ~し。」
<はなは 小さい頃から 夢みる力を持っていました。 眠い朝や つらい力仕事の時 こうやって想像の翼を広げれば どんな鳥よりも高く飛ぶ事だって できるのです。>
はな『富士山じゃんけ! あ~!』
安東家
玄関
はな「おじぃやん おはようごいす。」
周造「ああ おはよう。」
はな「兄やん 行ってこうし。」
ふじ「はな。 ももと かよの世話 頼むじゃんね。」
はな「うん。」
ふじ「ももが 腹すかして泣いたら 畑に連れてきてくれちゃあ。」
はな「うん。 おかあ 早く行けし。」
ふじ「ふんじゃ 行ってくるじゃんね。」
<はなは こんなに小さくても このうちの大事な労働力なのです。>
畑
はな「おかあ 昼飯じゃん!」
ふじ「ああ はな。 悪かったね。 さあさあ お昼にしっか。」
はな「おじぃやん はい。」
周造「ご苦労。」
川
はな「ええなあ…。」
徳丸 武「突撃! はな! はなたれ! おまんちは 小作で貧乏なもんで 学校も行けんずら!」
一同「貧乏 貧乏! はなたれ! 貧乏!」
武「何とか言えし! はな!」
はな「はなじゃねえ! おらの事は 花子と呼んでくりょう。」
武「はあ?」
はな「花子と呼べし!」
武「こいつ 何言うだあ。 小作のくせに花子? 笑わせるじゃんけ はなたれ!」
はな「何するでえ!」
武「逃げろ~!」
木場朝市「はな 大丈夫け?」
はな「はなじゃねえ。 花子と呼んでくりょう。」
朝市「あっ。」
はな「あっ。」
安東吉平「はな! ほれ。」
はな「おとう! 帰ってきただけ!」
吉平「おお~! 帰ったぞ!」
<はなの おとうは 行商の仕事をしています。 甲府特産の生糸を 東京に売りに行き 代わりに日用品を買い付けて こちらで売るのです。>
道中
安東家
居間
吉平「ちっと待ってろし。」
はな「何でえ?」
安東かよ「何でえ?」
吉平「おまんたちに 取って置きの土産があるだぞ。」
はな「土産?」
安東吉太郎「おとう 何ずら?」
かよ「何ずら?」
吉平「これじゃ~!」