2020年11月26日放送の【 連続テレビ小説「エール」】119話のネタバレです。
連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。
現在は(2022年3月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
東京オリンピックが終わり、裕一(窪田正孝)のもとに、小山田耕三(志村けん)が亡くなる直前に裕一に宛てて書いたという手紙が、届けられる。その手紙に書かれていた小山田の最後のメッセージとは…。それから時が流れ、裕一は病に伏す音(二階堂ふみ)の療養のため、東京を離れて静かな生活を送っていた。ある日、作曲家を目指しているという広松寛治(松本大輝)という青年が裕一を訪ねてくる。
119話ネタバレ
エール (119)「エール」
古山家 別荘
広松「私は大学で音楽を学び 将来は 作曲家を目指しています。 日本の音楽の歴史 特にクラシックを 勉強する中で先生のことを知りました。『竹取物語』をスロラヴィンスキーが 絶賛した記事も発見しました。『反逆の詩』という大作がったとも聞いています。 先生は どうしてクラシックを捨て 流行歌の世界に身を投じられたのですか?」
裕一「最初はね 生きるためでしたよ。 でも… 今は クラシックとか流行歌って 区別は私の中にありません。 全部 音楽です。」
広松「すばらしいお言葉です!」
裕一「…で 要件は? 何か聞きたいことがあるとか。」
広松「私は 古山先生を 小山田先生から続く 日本の音楽の 正統な後継者だと認識しています。 日本の音楽を豊かにするには 今こそ先生の力が…。」
十三年前
(電話の呼び鈴)
裕一「ありがとうございます。 失礼します。」
猿橋「亡くなられる3日前に書かれた手紙です。」
猿橋「先生は 出すべきかどうか 迷われていました。 今日 持ってきたのは 私の判断です。」
裕一「読ませて頂きます。」
『久しぶりだね。 活躍 いつも拝見していました。 映画も舞台も よく観に行きました。 君の音楽に触れるにつれ ようやく 私は わかったことがある。 私は音楽を愛していた。 君は音楽から愛されていた。』
『今 思えば それが悔しくて恐ろしくて 君を庶民の音楽に向かわせたのだろう。 愚かだった。 もし あの時 嫉妬を乗り越え 応援していたら 君は クラシックの世界で 才能を開花させていたはずだ。』
『私は 己のエゴのために 君という才能とともに 愛する音楽を冒とくしてしまったのだ。 後悔の念は ずっと つきまとい 私の心を蝕んだ。 君が オリンピックの入場行進曲を書くと 聞いた時 私は 心の底から うれしかった。』
『死の間際で 君のオリンピックマーチを聞いた。 日本国民は誇らしく思っただろう。 音楽の深淵を知る曲だ。 期待に応えた君に国民を代表して 最大の賛辞を贈りたい。 ありがとう。』
『最後に気が引けるが どうか私を許してほしい。 音楽を愛するがゆえの過ちだ。 道は違えど 音楽を通して日本に 勇気と希望を与えてきた同士として 今度は語り合いたい。 私は先に逝く。 こちらに来たら 声をかけてくれ。 小山田耕三』。
猿橋「晩年は 古山先生の歌を よく聴かれてました。 和声の工夫や メロディーの独創性を ほかの流行作曲家とは一味違うと うれしそうに語ってらっしゃいました。 どうか… 先生をお許し下さい。」
裕一「小山田先生の本で 私は音楽を勉強してきました。 感謝しかありません。 天国で お話しできるのが楽しみです。」
猿橋「ありがとうございます。 いつも 先生の前では しかめ面でしたが 笑顔は 子どもみたいにチャーミングです。」
裕一「音楽の話を一晩中 語り尽くします。 本当に ありがとうございました。」
猿橋「ありがとうございました。」
現在 古山家 別荘
広松「なぜ お元気なのに曲を書かれないのか その謎を聞きに参りました。」
裕一「君は… 楽器を使って作曲をしますか?」
広松「主にピアノです。」
裕一「私はね 子どもの頃 母に買ってもらった 卓上ピアノ以外 楽器を使って 作曲をしたことはないんです。 歌詞や土地や人と出会って そこから浮かんだものを 譜面に書き込んできました。」
広松「では 今は… もう音楽は先生の中にはないと?」
裕一「いいえ。 毎日毎日 あふれてきます。 花をみても 海を見ても… 妻との たあいない会話の中でも 音楽は常にあります。」
広松「では それを譜面にして下ささい!」
裕一「譜面にするのは まどろっこしいんだ。」
広松「でしたら 僕が採譜します。我々 若い世代に 正しい道をお示し下さい!」
裕一「私はね… 人の力になるための音楽を たっくさん作ってきました。」
広松「ですから もう一度!」
裕一「だから…。 もう 僕の中にある音楽を 僕だけで楽しみたいんだ。 駄目かな? 私の役目は終わったんだ。 次は君たちが担ってくれ。」