校長室
富山「葉山蓮子という編入生は 本当に学ぶ気があって ここへ来たんですか?」
茂木「えっ?」
富山「私は そうは思えません。 授業中も挑発的で ほかの生徒に 悪い影響がないか 心配です。」
茂木「これまで 彼女が過ごしてきた環境と あまりに かけ離れてるので 初めのうちは 摩擦があるかもしれませんが しばらく見守ってあげましょう。」
ブラックバーン『私たちの学校に来てくれた生徒は みんなマイガールですよ どんな事情を抱えていようと』
廊下
はな「改めて 自己紹介します。 今日から お世話係をさせて頂く 安東はなです。 本名は はなですが 花子と呼んで下さい。」
蓮子「では 参りましょう はなさん。」
はな「この人 人の話 全然聞いてない…。」
教室
綾小路「紫式部は どのような女性だと思いますか? 畠山さん。」
畠山「はい。 学問に打ち込み 教養にあふれた すばらしい女性です。」
綾小路「はい。 葉山様は どう思われますか?」
蓮子「私は 全く そうは思いません。 紫式部は 実は意地悪な女性です。」
綾小路「はっ?」
蓮子「『紫式部日記』の中で 同じ時代に活躍した清少納言の 悪口を書きつづっています。」
綾小路「次に進みましょう。」
綾小路「あら。 葉山様は?」
はな「ふらりと お出かけに…。」
綾小路「連れ戻しなさい!」
廊下
はな「葉山様。 葉山様。」
講堂
はな「ここに いらしたんですか。 授業中 いなくならいで下さい。」
蓮子「ねえ あなたは 神様って本当にいると思う?」
はな「えっ?」
蓮子「もし いなかったら 信仰なんて まるで意味のない 無駄なものという事に なってしまうわね。」
はな「本当に困るんです。 教室に戻りましょう。」
蓮子「あの退屈な授業が終わってから 戻りましょう。」
はな「あなたは退屈でも 私は 勉強しなきゃならないんです! 田舎にいる家族のためにも 一分も無駄にできないんです!」
蓮子「あなた… 家族のために勉強してるいるの?」
はな「ええ…。 いけませんか?」
伝道行商
山田「へえ~ 吉平さんの娘様は そんげにいい女学校さ 行ってるだか!」
<あら いつかの まんじゅう売り。 いつの間に おとうの仲間に なったのでしょう?>
山田「そりゃあ 将来 楽しみだべ!」
吉平「ふんだけんど 長男や妹らにゃあ ろくな教育も 受けさせてやれなんで…。 あの子らは なんぼ働いても 地主や資本家に 搾り取られるばっかだ。 ほういう世の中は 間違っとるじゃろ? 一度 壊して 作り替えさにゃあならん!」
山田「んだ! んだ! それにしても 人さ 来ねえな。」