連続テレビ小説「花子とアン」第20回「嵐を呼ぶ編入生」【第4週】

安東家

居間

ふじ「えっ? 朝市が教会に?」

リン「ほうだよ! 田んぼも手伝わんで どこ ほっつき歩ってるかと 思ったら 町の教会に入り浸ってるって いうじゃん! もう…。 まさか ここんちの婿殿みたいに 西洋にかぶれちまったずらか。」

朝市「おばさん! 今日も 書く練習をしましょう。」

リン「朝市!」

朝市「おかあ…。」

リン「おまん どういうつもりでえ! 兄やんたちが 汗水たらして働いてるだに 毎日 教会で何をしてるだ! もう あんなとこ行くじゃねえ!」

朝市「いや… 明日も行く。」

リン「はっ?」

朝市「おら 勉強がしてえだ。」

リン「勉強だと!? この親不孝もんが!」

ふじ「あ~ リンさん リンさん!」

朝市「おかあ… すまねえ。 おら 百姓には ならん。」

リン「何だと!?」

朝市「師範学校受けて 教師になる。」

リン「てっ…。」

吉太郎「朝市…。」

朝市「やっと 自分のやりてえ事が見つかっただ。」

作業部屋

周造「キチ。 おまえも 百姓やめたくなっただけ。」

吉太郎「時々 考えるだよ。 このまま ここで 終わりたかあねえって。」

周造「そうさな。 時々 考えてみるのも 悪かねえさ。 わしなんざ 考えてばっかしいるうちに じじいになっちまったけんどな。」

修和女学校

蓮子の部屋

はな「毛布を お届けに参りました。」

蓮子「そこへ。」

はな「この部屋 いい匂いがしますね。 懐かしい! ブドウ畑の匂いがする!」

蓮子「『懐かしい』?」

はな「私のうちは 山梨の甲府で ブドウ畑が たくさんあるんです。 秋になると この匂いで いっぱいになります。」

蓮子「これ ブドウを搾った滋養のお薬よ。 体が温まって よく眠れるの。」

はな「へえ~!」

蓮子「よろしかったら いかが?」

はな「はい!」

蓮子「どうぞ。」

はな「じゃあ 頂きます。 おいしい! このお薬 おいしいですね!」

蓮子「あら。 もう一杯 いかが?」

はな「あっ 頂きます!」

(はなが飲む音)

はな「くは~!」

蓮子「そんなに お気に召して?」

はな「はい! ブドウの香りが 胸いっぱいに広がって 体中が ポカポカしてきました。」

蓮子「お好きなだけ どうぞ。」

はな「いいんですか?」

廊下

スコット「Good night.」

蓮子の部屋

はな「このお薬 本当に最高ですね! 何だか楽しくなってきました!」

蓮子「もう そのくらいにしておいたら?」

はな「え~? もっと飲みましょうよ 先輩。」

蓮子「『先輩』?」

はな「ねえ 先輩…。 与謝野敦子なんて読んで 気取ってんじゃないですよ! 蓮子先輩!」

スコット『マイガール、おやすみなさい』

はな「あ~! この声 スコット…。」

蓮子「(小声で)はなさん。」

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