連続テレビ小説「花子とアン」第21回「嵐を呼ぶ編入生」【第4週】

伝道行商

吉平「さあ 見て下さいよ。 ああ そこの学生さん! ちょっと 寄って下さいよ!」

<そのころ 吉平は 東京におりました。>

吉平「今の世の中を変えるためには 是非とも 社会主義なる思想を 知って頂きたい。 是非とも 本を買って下さい。 応援して下さい!」

山田「先輩! 先輩! ちっと ごめん。 娘様の学校 修和女学校って言ったべ?」

吉平「ああ。」

山田「近くの八百屋で聞いたんだけど そこの生徒が 酒 かっくらって 大騒ぎして 退学になりそうなんだと。 それが 何でも… 甲府から出てきて 真面目に頑張ってた女の子って いうでねえか。」

吉平「てっ!」

修和女学校

面会室

(戸が開く音)

吉平「グッド アフタヌーン。 はな。」

はな「おとう…。」

吉平「何か あっただか? 実は 変なうわさ 聞いたんじゃ。 修和女学校で 甲府出身の生徒が 問題 起こしたって。 まさか… はなのこんじゃねえよな。」

はな「おとう…。 ごめんなさい。 私… 多分 退学になると思う。」

吉平「バカ野郎! 何でじゃ… 何で 酒なんか!」

はな「私 お酒だって知らなかったの! ある人のお部屋に行ったら 懐かしいブドウの匂いがして… 滋養のお薬だと言って 勧められて…。」

吉平「ほれが ブドウ酒だっただか。」

はな「お酒って知ってたら 私 絶対飲んだりしなんだ! 本当だよ! おとう 信じて…。 おとうも信じてくれんだけ…。」

吉平「分かっとる。 はなは 嘘なんか言っちゃいんって おとうが一番 よ~く分かっとる。 でも… ほんでも 悪いこんは 悪い! はなは 退学になっても しかたねえこん しちまっただ…。」

はな「本当に… ごめんなさい。 私… みんなの希望の光になれなんだ…。」

吉平「(すすり泣き)」

<はなは 生まれて初めて 父親にぶたれました。 でも はなにとって それよりも つらかったのは おとうの涙でした。 ごきげんよう。 さようなら。>

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