連続テレビ小説「花子とアン」第44回「想像のツバサ?」【第8週】

(鐘の音)

キヨシ「おまんちは 貧乏だから 弁当持ってこれんずら。」

マサル「ほうだ ほうだ! 貧乏がうつるから あっち行けし。」

キヨシ「あっち行けし~。」

回想

はな「もも見ろし。 白い米のおまんまが あんなに いっぺえ!」

回想終了

キヨシ「おまん なにょうしてるだ?」

はな「たえさんは 想像の翼を広げてるの。」

生徒たち「想像の翼?」

はな「ええ。 その翼を広げれば どんな鳥よりも高く飛べるし 雲のごはんだって 食べる事ができるのよ。」

たえ「先生 どうして分かるでえ?」

はな「先生も 小さい頃 そうだったから。 毎日 想像の翼を広げて 鳥と一緒に大空を飛んでいたの。 今でも 時々 羽ばたいてしまうけんど。」

たえ「おらだけかと思ってたけんど 先生も ほうけ。」

はな「うん。」

(おなかが鳴る音)

はな「これ 食べろし。」

たえ「てっ! ふんだけんど 先生は?」

はな「先生は おなかがいっぱいなの。」

たえ「ありがとごいす。 頂きます。」

教務室

本多「小山たえの事だけんどな。」

はな「何か?」

本多「教師が お気に入りの生徒を つくったら いかん。」

はな「そういうつもりは…。」

本多「おまんの弁当をやるのも たえのためにゃ ならん。 一回 弁当やったら 明日っから 弁当がねえと もっと つらくなる。 たえんちは 去年 病気で母親を亡くして 父親は 借金返すために 出稼ぎに出て うちには いねえ。]

本多「たえは 一人で ちっくい弟の世話をしながら 留守を守ってるだ。 ほんな生徒を考えもなしに 中途半端な情けをかけたら けえって不幸んなる。 おまんみてえな 甘ったるい同情心じゃ 救えんだ!」

朝市「(小声で)はな。 大変だ。 6年生の生徒たちが。」

校庭

「たえ!」

「歩け 歩け!」

「歩け!」

「歩け!」

「歩け!」

はな「たえさん! どうして屋根になんか…。」

「キヨシたちが たえをからかっただよ。」

回想

キヨシ「本当に翼生えてるなら 屋根の上歩いても 怖くねえら!」

「ほうだ ほうだ!」

たえ「怖くねえ!」

キヨシ「ほれじゃあ 屋根の端っこまで歩いてみろし!」

「歩いてみろし!」

「ほれ! できねえじゃんか!」

「嘘つきたえ!」

「嘘つき!」

「嘘つきたえ!」

たえ「怖くねえ! 歩ける!」

回想終了

「ほれ! できねえじゃんけ!」

「嘘つきたえ!」

はな「たえさん! 下りなさい!」

たえ「怖くねえ。」

「さっさと 端っこまで歩け!」

はな「たえさん やめなさい! 下りなさい!」

朝市「危ねえ! 下りろし!」

緑川「ほれ! おまんら なにょうしてるだ!」

はな「分かったわ。 私がやる。」

朝市「えっ?」

はな「たえさんの代わりに 私が歩きます!」

朝市「はな。 危ねえから やめろし!」

はな「たえさん 今 行くから!」

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