須藤「お名前間違えるとは 大変失礼致しました。 入稿した時は 確か 安東花子さんになってたのに。」
英治「えっ?」
はな「やっぱり!」
須藤「お宅の印刷所が 間違えたんだろう!」
英治「いや… いや うちは 頂いた原稿のまま 印刷しました。」
須藤「とにかく ちゃんと謝っといてくれよ。」
英治「え~…。 あなたを怒らせたのなら 謝ります。 でも なぜ 花子が はなになってしまったのか 謎ですね…。」
はな「えっ それで 謝ってるおつもりですか?」
英治「すいません…。 あの… それより お会いしたら 真っ先に 言いたい事があったんです。 『みみずの女王』 最高に面白かったです。」
はな「話をすり替えないで下さい。」
英治「いえ 本当に そう思ったんです。 みみずのフト子さんと セキレイの親子の対比が実にいい。 あなたの想像力に 脱帽しました。」
はな「そのお言葉が本当なら 作者の名前を 間違えたりするかしら。」
英治「また そこに戻りますか…。」
はな「当たり前でしょう! だって 村岡印刷さん。」
英治「あの… その呼び方は やめて頂けますか。 僕は 村岡英治です。」
はな「ほら ご自分だって 名前に こだわってるくせに。 私は 初めて 本に自分の名前が載ったんです。 一生の記念なのに 名前を間違えられるなんて…。 この悔しさがお分かりですか? 村岡印刷さん。」
英治「あっ また言った。 今のは わざとですよね?」
はな「あら ごめんあそばせ 村岡印刷さん。」
英治「安東はなさんも 結構 嫌みな性格ですね。」
はな「嫌みとは 何よ。 自分の失敗 棚に上げたくせに!」
英治「だから それは 誤解ですって!」
梶原「それぐらいにしたまえ。 口げんかで 女性に勝てる男は いないよ。」
はな「梶原さん! ごきげんよう。 ご無沙汰してります。」
梶原「安東君 おめでとう。 作品 読ませてもらったよ。 なかなか 面白いじゃない。」
はな「ありがとうございます!」
梶原「みみずのフト子さんと セキレイの親子の対比が実にいい。」
はな「梶原さんに そう言って頂けるなんて 感激です!」
梶原「僕も そう言ったのに…。」
<なぜ 花子が はなになったのか 真相は いかに? ごきげんよう。 さようんら。>