連続テレビ小説「花子とアン」第56回「乙女よ、大志を抱け!」【第10週】

もも「ふんだけんど あんなに妹思いの お姉やんは どこにもいねえ。 おら お姉やん大好き。」

朝市「ほうけ。」

もも「本当に遅えなあ。」

朝市「あっ。」

武「てっ! おまんら まだいただけ。」

もも「えっ?」

朝市「はなは?」

武「とっくに帰ったさ。 あいつは 何を考えてだか。 『送ってくれ』とか言って うちの前まで ついてったら ピシャッと戸を閉められただ。  …ったく はなたれの分際で。」

安東家

もも「送ってくれて ありがとう。」

朝市「ほれじゃ。」

もも「うん。」

朝市「ももちゃん おらの顔 何かついてるけ?」

もも「ううん!」

朝市「今日は 何だか へんてこな 茶飲み会で疲れたじゃんね。」

もも「ううん。 おら 最高に楽しかったさ!」

朝市「ほうけ。 なら いいけんど。 ほれじゃ。」

はな「(小声で)…という訳さ。」

吉平「ももは 朝市の事が…。 ほれで 縁談渋ってただか。」

はな「ほうだよ。」

吉平「ああ… いや 朝市は 確かに いいやつだが 森田君も 負けず劣らず いいやつだ。 ももも 会えば きっと よさが分かる。」

はな「おとう 何で… 朝市なら うちも近いし 仕事ぶりも真面目だし 昔っから よく知ってるし 何の問題もねえら。」

吉平「ふじは どう思う?」

はな「おかあも ももと朝市が一緒になった方が いいと思うじゃんね。」

ふじ「そうさな~…。」

はな「おかあは いつから おじぃやんになったでえ。」

吉平「こっちは 真剣に聞いてるだ。」

ふじ「2人とも ももの事は そ~っとしといいてやれし。」

はな「おかあ…。」

尋常小学校

教務室

<そんな ある日の事。>

(戸が開く音)

寅次「安東先生 郵便ずら。」

はな「ありがとうごいす。」

はな「てっ!」

本多「安東…。」

朝市「何でえ?」

緑川「びっくりさせるじゃねえ。」

はな「どうも すいません。」

<はなの心臓は ドキドキ高鳴っていました。 9年間も絶好していた あの蓮子からです。>

はな「『踏繪』…。 『白蓮』…。」

<それは 当時 一世を風靡した 竹久夢二が装丁を施した 歌集でした。>

蓮子『前略 安東はな様。 以前 『児童の友』という雑誌で あなたの童話を お見かけ致しましたが あれ以来 待てど暮らせど あなたの作品は 一作も見かけません。 その間に 私は 歌集を出す事に相成りました。』

蓮子『あなたは いつになったら 安東花子の名前で 本を出すのですか? ぐずぐずしていると おばあちゃんに なってしまいますわよ。 では ごきげんよう。 さようなら』。

はな「蓮様…。」

<はなの胸には たまらない懐かしさと共に 忘れかけていた物語への情熱が よみがえってきました。>

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