尋常小学校
教務室
はな「この度は お休みを頂き ありがとうございました。 おかげさまで 無事に祖父を送る事ができました。」
本多「顔は おっかなかったけんど 優しいおじぃやんだったな。」
緑川「安東先生 お力落としのねえように。」
はな「ありがとうごいす。」
緑川「亡くなったおじぃやんも 花嫁姿 見たかったらねえ。」
はな「いえ…。 祖父は 私に 夢を追っかけろと 言ってくれました。」
緑川「夢? 嫁じゃなくて夢?」
はな「ええ。 夢です。」
教会
図書室
(足音)
朝市「ごめん。 待ったけ? 校長先生に捕まっちまって。」
はな「大丈夫?」
朝市「うん。 相談って何ずら? 学校の事け?」
はな「ううん。」
朝市「ふんじゃあ…。」
はな「あっ。 その前に 朝市の大事な話って 何だったでえ?」
朝市「てっ…。」
はな「ほら! 何か話があるって言ってたじゃん。」
朝市「ああ~…。 ああ… 何だったっけな…。 忘れちまった。 あ… あれは もういいだ。 ほれより どうしたでえ?」
はな「東京から 出版社の人が来た事あったら? ほの事で…。」
朝市「迷ってるだけ?」
はな「おかあたち残して とても上京なんてできねえって 一遍は 諦めたけんど…。」
朝市「はなは 東京に行きてえだけ?」
はな「うん。」
朝市「ふんじゃあ 行けし。」
はな「朝市…。」
朝市「一生懸命やって勝つ事の 次にいい事は 一生懸命やって負ける事だ。」
<ごきげんよう。 さようなら。>