連続テレビ小説「花子とアン」第70回「銀座のカフェーで会いましょう」【第12週】

梶原「先生の方から来て頂けるとは 思いませんでした。 連載の件 考えて頂けましたか?」

宇田川「いいえ。 苦情を言いに来たんです。 この『みみずの女王』に しつこくされて 本当に迷惑してるんです。」

宇田川「それは 大変失礼しました。」

はな「申し訳ありません。」

梶原「ですが 安東は それだけ 先生に書いて頂きたいんです。 彼女だけじゃありません。 社員一同 新しい雑誌には 是非とも 先生に書いて頂きたいと 心から思ってるんです。」

宇田川「梶原さんたちには 賞を頂いたご恩もあるし そこまで 熱心に誘って下さるなら こちらも 書きたいのは やまやまなんだけれど…。 今 よその恋愛小説で 煮詰まってて…。 それが終わらないと こちらの連載まで手が回らないの。」

醍醐「私たちでよければ いくらでも題材をご提供しますわ。 そのかわり うちの雑誌に 書いて頂けませんか?」

宇田川「面白い恋愛の話を 提供してくれるなら 考えてもいいわ。」

宇田川「ちょっと どこ見てんのよ。」

はな「すいません!」

宇田川「まあ この人は 経験不足だから 使えないわね。」

須藤「そんな事ありません! 安東は 今夜 逢い引きの約束があるんです。」

宇田川「へえ~…。」

はな「いえ… その…。」

カフェー・ドミンゴ

蓮子「はあ… はなちゃん お仕事 忙しいのかしら…。」

かよ「大変 お待たせ致しました。」

蓮子「これは セイロンティーとは 全く違う飲み物ね。」

かよ「そうですか…。」

蓮子「香りも味も まるで違います。 コーヒーを 水で薄めたもののようだけれど…。」

かよ「そんなはずは…。」

龍一「ここには 気取った紅茶なんかありません。 『新興成金の奥方には わざと まずいコーヒーでも飲ませて 追っ払え』と 僕が言ったんですよ。」

蓮子「私の事 ご存じのようね。」

龍一「筑豊の石炭王 嘉納伝助夫人 蓮子さんでしょう?」

かよ「てっ この人が蓮子さん…。」

蓮子「それで 私に何かご用ですか?」

<はなが 約束の時間に遅れなければ この2人が出会う事も なかったのに。 ごきげんよう。 さようなら。>

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