宇田川『宇田川満代です。』
はな「てっ う… 宇田川先生! はい! あ… すぐに伺います! はい。」
梶原「宇田川先生 何だって?」
はな「うちの連載の第1話を 今 書いて下さってるそうです!」
(どよめき)
醍醐「すごいわ はなさん! お手柄よ!」
はな「行ってきます!」
一同「行ってらっしゃい!」
カフェー・ドミンゴ
はな「宇田川先生…。」
宇田川「話しかけないで! ここまで来たら 一気呵成よ。」
平祐「今日は 静かでいいなあ。」
かよ「お姉やん よかったね。 苦労したかいがあったじゃん。」
(時計の音)
(時計の時報)
宇田川「出来たわ。」
はな「宇田川先生 ありがとうございます。 『銀河の乙女』ですか! すぐに読んでも よろしいでしょうか?」
宇田川「それが編集者の仕事でしょ。」
はな「では。」
宇田川「コーヒー お代わり。」
かよ「はい。」
はな「すばらしいです! 傑作です!」
宇田川「簡単に褒めないでちょうだい。 作家に最高の作品を求めるのが 編集者でしょ。 駄目を出してちょうだい 駄目を。」
はな「駄目なんて そんな…。」
宇田川「まあ 『みみずの女王』に言われても 私は 書き直さないけど。」
はな「本当に すばらしいです! 特に ここ。 『『スピカ スピカ。 おお 私の美しい星よ』。 ルカは ささやきました。 『二度と この地球に 帰ってこられなくてもいいの』。 その時 銀河の女王が見えない翼を ルカに そっと授けました』。」
宇田川「そこ 実は 私も一番 気に入ってるの。」
はな「本当にすばらしいです。 本当に ありがとうございました。 第2話以降も楽しみにしています。」
平祐「ごちそうさま。 (小声で)君のお姉やんも ようやく 編集者らしくなってきましたね。」
かよ「ありがとうございます。」
聡文堂
梶原「もしもし 安東君。 宇田川先生の原稿 どうだ?」
はな『たった今 すばらしい原稿が仕上がりました。』
梶原「そうか! もう 時間がないんだ。 そのまま 村岡印刷に届けてくれ。」
はな『村岡印刷… ですか。』
梶原「安東君。 何か 問題でもあったのか?」
はな『ああ いえ…。 分かりました。 これから すぐに届けます。』