連続テレビ小説「花子とアン」第81回「ゆれる思い」【第14週】

<一方 福岡の蓮子は…。>

嘉納邸

蓮子『推敲した脚本の原稿は 届いているのでしょうか。 あなたが強く言うので 書き直しましたのに 何の連絡もありませんの 大層 心配しております』。

蓮子「『君ゆけば ゆきし淋しさ 君あれば ある淋しさに 追はるる こころ』。」

<恋の歌をつづってしまうほど こちらも 相当 入れ揚げてる様子です。 道ならぬ恋だというのに…。>

タミ「あ… あら~! ごはんでもないとに 書斎から出てくるちゃ 珍しい事もあるもんばい 雪でん降るっちゃないと。」

蓮子「今すぐ これを出してきてちょうだい。 速達でね。」

すず「はい。 いつもと同じでよかとですか?」

村岡印刷

<ここにも 手紙を託された人がおりました。>

(ドアが開く音)

英治「お帰り。」

郁弥「兄さん…。」

英治「どうした?」

郁弥「これ 義姉さんから 預かってきた。 外回りのついでに 病院寄って… それで…。」

英治「何だよ… これ…。 一体 どうして…。」

郁弥「分からないよ! 兄さんこそ 心当たりは ないのか?」

病院

病室

英治「香澄! これは 一体 どういう事なんだ。」

香澄「そこに書いたとおりです。 私と別れて下さい。」

英治「突然 何を言いだすんだよ。 どうして… どうして 急に 別れたいだなんて…。」

香澄「あなたの心には ほかの女の人がいるわ。 あなたの心の中には… 私ではない ほかの女の人がいる。」

英治「何を言いだすんだよ…。 ほかの人なんか いる訳ないじゃないか。」

(風鈴の音)

英治「君と別れるつもりはない。」

香澄「いいえ! 別れて下さい。 死ぬのを待たれるのは嫌なの。」

(風鈴の音)

聡文堂

醍醐「ああ~ もう やっても やっても 終わらないわ! はなさん。 続きは 明日にして 食事に行かない?」

はな「皆さんに ご迷惑をおかけした分 取り返さないと。」

梶原「時には 息抜きも必要だ。 今日は いいぞ。」

醍醐「ありがとうございます。」

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