吉平「さあさあ 村岡さん 飲めし。」
英治「ところで… お義父さん… あの… 今日は… 大事なお話があって伺いました。 え~っと… そのですね…。 あの…。」
吉平「いや~ 村岡さん! もう英治君でいいら?」
英治「はい…。」
吉平「俺は 君の事が気に入ったぞ。 ボコの頃から本が大好きな はなに ぴったりの相手じゃん。 はなのこん 嫁にもらってくれちゃあ。 このとおり。」
英治「え…。」
ふじ「てっ! おとうが先に言っちゃ 駄目じゃんけ!」
はな「おとう! 村岡さん 困ってるじゃん!」
英治「ああ いえ…。」
吉平「てっ! アハハハハ!」
吉平「ほれにしても はなから電報もらったときゃあ 一体 どんな男が来るかと 思ったけんど 英治君みてえな青年でよかった。 アハハハハハ!」
英治「(せきこみ) すいません。」
吉平「全く 東京にゃあ ひでえ男もいるからなあ。」
ふじ「あんた! ほれぐれえにしとけし。」
吉平「英語の辞書をくれた男から はなは ひでえ目に遭ったらしい。」
ふじ「あ… すまんじゃんね。 この人 すっかり酔っ払っちまって。」
(雷鳴)
(雨の音)
ふじ「村岡さん はなの事 花子って呼んでくれるだね。」
はな「うん。」
ふじ「アハハ… よかったね。 本当にいい人に巡り会っただね。」
はな「うん。」
ふじ「はな。 あの… 辞書くれた人のこん もう忘れただね?」
はな「…うん。」
ふじ「はあ…。 村岡さんと2人で こぴっと幸せになれし。」
翌朝
吉平「頂きます。」
はな「頂きます。」
英治「あの… お義父さん。 お義母さん。 大事なお話があります。」
吉平「アハハハハ… ゆんべは 酔っ払ってたけんど 『はなを嫁にくりょう』って話なら こぴっと覚えてるだぞ。 アハハハハ。」
英治「いえ。 実は… お二人に黙っている事が ありまして…。」