龍一「ゆうべから不安だったんだ。 あの男のところへ 帰ってしまうんじゃないかって。」
蓮子「二度と帰らないわ。 あなたと生きていくって決めたの。」
龍一「でも きっと ご主人は あなたを連れ戻しに来る。」
蓮子「あなたが そばにいてくれるなら 私は 何も怖くないわ。 何があっても あなたのそばを離れないわ。」
龍一「本当に?」
蓮子「そんなに心配なら あの人に手紙を書くわ。」
龍一「手紙?」
蓮子「この手紙を龍一さんに託します。」
龍一「これは…。」
蓮子「あなたが投函して下さい。 あなたへの愛の証しですから。」
龍一「ありがとう。 蓮子。」
(ため息)
尾形「女を連れ込んで 全く いい気なもんだな。」
<それから 数日後の早朝の事。>
村岡家
玄関
醍醐「ごめんください! 朝早くにすみません! 醍醐です!」
花子「ごきげんよう。」
醍醐「ごきげんよう はなさん! 今日の朝刊 ご覧になった?」
花子「いえ まだだけど…。」
英治「おはようございます。 醍醐さん。 どうしたんですか?」
醍醐「これ! 見て下さい!」
英治「絶縁状?」
花子「蓮様…。」
嘉納家
黒沢「嘉納さん。 今日の新聞に奥様の記事が…。」
嘉納「何やと?」
タミ「旦那様… うちは いつか こげな事になるとやないかと 思うちょったとです! ばってん 新聞に絶縁状載せるちゃ ここまで ひどい女や 思わんやったばい!」
嘉納「絶縁状!?」
タミ「旦那様! こげな…!」
黒沢「嘉納さん… 冷静に聞いて下さい。 蓮子さんの手紙の全文が ここに公開されてういます。」
嘉納「何ち書いちゃると!? 早よ読め!」
黒沢「『嘉納伝助様。 私は 今 あなたの妻として 最後の手紙を差し上げます』。