花子「兄やん… ひょっとして 蓮様が 今 どこにいるのかも 知ってるんじゃない? 知ってるなら 教えて。」
吉太郎「居場所知って どうするだ?」
花子「会って 話がしたいの。 蓮様 今 どこにいるの?」
吉太郎「俺にも分からんだ。 すまん。」
花子「待って 兄やん…。」
吉太郎「かよが心配だから カフェーに行ってみる。」
花子「お願い。」
吉太郎「ああ。 失礼します。」
英治「どうも。」
カフェー・ドミンゴ
<そのころ 案の定 カフェー ドミンゴでは…。>
「いつから この店に? すいません もっと詳しく教えて下さい! お願いします!」
平祐「はあ…。 道ならぬ恋は 短歌の世界だけで 成就させればいいものを…。」
かよ「ありがとうございました。」
「嘉納蓮子と帝大生は ここで逢い引きしてたそうですね。」
「詳しく聞かせて下さい!」
かよ「何も知らんって 何べんも言ってるでしょう! やめてくれちゃあ。」
「いや 何か…。」
かよ「どいてくれちゃあ!」
郁弥「ちょっと! 僕が こぴっと お守りします。」
かよ「ありがとうごいす。」
「白蓮女史と同じく 文壇で活躍する女性として 宇田川先生は 絶縁状の新聞掲載は どのように思われますか?」
宇田川「新聞を私物化するなど 良識を疑います。 そもそも 彼女は わがままな だだっ子としか思えません。 ぜいたくな暮らしがしたくて 石炭王に嫁いだのに 今度は 愛が欲しくなったから 駆け落ちだなんて 女として どうこうではなく 人として いかがなものでしょうか。」
(フラッシュ音)
<こうして 事件の波紋は どんどん広がり…。>
龍一宅
龍一「すまない! 本当は 見知らぬ土地に行って 2人で新しい生活を 始めるつもりだったのに こんな事になってしまって…。 あいつらの手を借りようと思った 俺が甘かったんだ。 本当に申し訳ない!」
蓮子「いいのよ。」
龍一「よくない。 あなたを世間の目にさたして… 傷つけてしまって…。」
蓮子「あなたのそばにいられるのなら 石を投げられたって どんな恥だって 私は 耐え忍びます。 あなたのそばで 生きていけるのなら それだけでいいの。」
龍一「蓮子…。」
蓮子「龍一さん…。 私 今 すごく幸せよ。」
龍一「約束します。 必ず あなたを守る。 何があっても 2人で一緒に生きよう。」
嘉納邸
嘉納「新聞記者を呼べ…。」
タミ「えっ? 旦那様?」
嘉納「今すぐ 記者を呼べ! こっちも あの女に反論するったい!」
タミ「はい ただいま。」
<ついに この男が反撃に出ました。 ごきげんよう。 さようなら。>