自宅
純「もう！」
愛「ああ お帰りなさい 今ご飯の準備しますね」
純「要らない！」
愛「純さん？ 純さん どうしたんですか？ お腹痛いんですか？」
純「顔見られたくないの 今 会社のやつらに対する 怒りとか イライラとか あきらめとか 寂しさとか 殺意とか 絶望感で 私の醜くて 狂暴で 悪魔のような 本性 むき出しだと 思うから 今！」
愛「そんなこと言わないで 出てきてください」
純「ああ もう 無理 無理 あんなホテルね 愛くんママに乗っ取られちゃえばいいんだよ」
愛「ウチの母に会ったんですか？」
純「あ うん 吸収合併する外資系ホテルの代理人なんだって」
愛「(ため息)」
純「あ そういえばさ 企画書に 総支配人の言葉入れてくれたんだね『ホテルマンに不可能はない みんなが一丸となって 同じ目的に迎えば』ってやつ」
愛「ホームページに書いてあったんで」
純「やっぱ 味方は 愛くんだけだよ それに比べて ホテルのやつらときたら… ああもう イヤだ めげそうで行きたくない 会社」
愛「大丈夫ですよ 純さんのこと分かってくれる人が 必ずいます」
純「どこに？」
愛「まだ 探してないとこ 探してみるとか 忘れ物とか 見つからる時って そういうもんだし 腹が減っては なんとかって 言いますから 早く出てきてください 今日 純さんが大好きな カレーですよ」
ああ 道理で さっきから いい匂いが…
愛「それに 豚まんもあるし」
晩飯
愛「はい どうぞ！ 召し上がれ」
純「いただきます」
オオサキプラザホテル
ロビー
でも どこにいるんだろ？ 私の気持を分かってくれる人が まさかね この人たち じゃないよな
この人も違うよな
ん？ どうしたんだろ あの人？
純「あの」
新井「え？」
純「どうかしたんですか？ あ すみません あの 相当悩んでる顔してたんで」
新井「ああ バレちゃった？ 私 広報に居るんだけど オオサキの創業60周年記念企画で ロビーを使った なんか イベント考えなきゃいけないんだけど いいアイディアが全然 思いつかなくて…」
純「ああ… あの… ああ…」
新井「だ 大丈夫？ まさか 過呼吸とか？」
純「ピッタリの企画があるんです」
新井「誰の企画？」
純「あの これ 見てください ロビーのウエディングなんです ロビーウエディングなんですよ どうですか？」
新井「良いじゃない これ！」
純「本当ですか？」