自宅
純「ただいま」
愛「お帰りなさい 今ご飯の準備が出来ますからね」
純「要らない 食べたくない」
愛「また 会社で なにかあったんですか?」
純「知らない 言いたくない もうこれも 全然できないし もう イヤだ」
チャイムが鳴る
愛「どちら様ですか? 誠!」
誠「純さんおる?」
愛「え? どうしたんだよ 誠?」
誠「剛のアホが 私のこと 毎日撮影して 投稿サイトに 今日の誠ちゃんとかいう映像流してるから 文句言いに来たんですけど? ねえ 何とかしてよ あの アホな弟」
純「え うん…」
誠「どうしたん? この人? いつもと 違って 全然元気ないけど」
愛「会社で 色々とあったんだよ」
誠「色々って?」
愛「色々って ん- 外資と合併してから すべて売り上げありきになって スタッフはリストラが怖いから 上司の顔色伺って チクリ合い 罵り合いをするヤツまで現れる始末 客層は 圧倒的ビジネスマンが増えたから お客さんの顔から 笑顔が 減った気がする 実際 毎日 オオサキに来るのを楽しみにしてくれた おばあちゃんを今日追い出せと言われた」
純「ちょっと 人の心 勝手にしゃべんないでよ」
愛「すみません」
純「しかも 私が思ってることより もっと 簡潔になってる」
誠「そういえば ウチのママがリストラ やってんねって この頃 帰ってきたら 匂い酷いもん 日本は労働法でとか 組合に守られてるから 無能な無能やて言えんくて イライラするとか言って」
純「もう 私 会社行きたくないよ」
愛「そんなこと言わないで 頑張ってください」
純「だってさ あのおばあちゃんだってさ パン屋さん無くなったら あしたから もう 来なくなっちゃうかもしれないじゃん」
レンジの音
愛「あ 出来た あー 良い匂い」
純「あ! なにそれ!」
愛「明日 おばあちゃんに 持ってってあげてください」
純「焼いてくれたの?」
誠「熱っ」
愛「熱いよ」
純「おいしそう 熱っ!」