優子「はい ありがとうございました~。」
「おおきに。」
優子「どうぞ お疲れさんでした~。 ほな そちらへ お掛け下さい。 どうぞ。」
糸子「優子。 あんた… デザイン やってみるか?」
優子「えっ?」
糸子「サックドレスやったら できるやろ? あんた。」
優子「はい! できます。 自信あります。」
糸子「ほな やり。」
優子「はい!」
2階 寝室
糸子「どうや?」
優子「だいぶ 出来てきた。」
糸子「見せてみ?」
優子「大丈夫。 完成してから 見せるから。」
糸子「うん。」
<とにかく 真面目で 何でも完璧に やりたがりよんのは ええけど>
居間
優子「お客さんは『せっかくやから お産が済んで おなかが戻ってからも着たい』ゆうた。」
糸子「うん。」
優子「おなかが大きい時に 着るんやったら こっちやけど 戻ってからやったら こっちなんや…。」
糸子「あんたな 頭で考え過ぎなや。」
優子「え?」
糸子「そら お客さんは おなかも大きなるし 肥えもするし 痩せもする。 考えだしたら 切り ないんや。」
優子「ほな どうしたら ええの?」
糸子「お客さんの気持ちになったら 分かるがな。 そら 来月 着る時に 一番よう似合うて うれしいよう こさえたら ええんや。 お産が済んでも 着たいて そら 今は 思うかもしらへんけど そん時は もう サックドレスかて 廃れてるかも しれへんやないか。」
優子「ええ?! けど…。」
糸子「何や?」
優子「うちは せっかく作るもんが 1回しか着られんで終わりなんか 嫌や! ず~っと大事に 着てほしい。」
糸子「あんたが決める事 ちゃう!」
オハラ洋装店
客「こんにちは。」
優子「あ~! いらっしゃい~! はれ 痩せました?」
客「うん… そうなんや。 つわりが ひどうてな。」
優子「はあ…。」
糸子「ちゃうやろ。 まあ そら そんなとこ 出てきてもうて 申し訳ないなあ。 ささっと済ませますよって どうぞ。」