小原家
寝室
<何回 思い出したやろ 一緒におった時間より 思い出してる時間の方が ずっと 多なってしもた>
糸子「変な相手や。」
オハラ洋装店
(せみの鳴き声)
聡子「空けるで。」
『は~い。』
聡子「あ~!」
「なあ。」
聡子「ん?」
「ほんまに これ こんで ええの?」
聡子「ふん。 ここが こうなってるのは デザインやさかい よう 似合うてるわ。」
「おかしない?」
聡子「何も。 格好ええよ!」
「ほな もろとこうかな これ。」
聡子「ほんま? おおきに! せやけど こっちも よう似合うてたなあ!」
珈琲店・太鼓
松田「せやけど やっぱし 聡ちゃんには まだまだ 看板 任せられませんわ。」
糸子「ふん。」
松田「まあ お客に好かれる人柄 持ってるし 直ちゃんかて 聡ちゃんのセンスは かなり ええ線いってる ちゅうてました。 ほんでも 経営者ちゅうんは また 別の器が要りますよってな。」
糸子「まあなあ。」
松田「まあ うちの見立てでは 一番しっかりしてるのが 優ちゃん。 ほれから ぐっと落ちて 先生と直ちゃん。 ほれから またこう ぐっと落ちて ここで初めて 聡ちゃんですわ。」
糸子「う~ん。」
糸子「婿 取るか?」
昌子「ええ。 うちも 今 そない思てました。」
糸子「なあ? 事務やら経理やら その辺の ややこし事 チャチャチャチャ~っと こなしてくれるような 賢い婿。」
昌子「ええですねえ。 ほんで 男前で!」
糸子「いや~ ええなあ!」
松田「まあ そら ほんな婿が 来てくれたら 万々歳ですけどな。」
糸子「あの子 ほんでも時々 よう 男の子 連れて来るやんか?」
回想
「いただきます!」
千代「いや~! あれまあ!」
回想終了
糸子「あれは 何や?」
昌子「あれは まあ 多分 聡ちゃんの彼氏の時もあれば。」
回想
「テニス めっちゃ うまかったよなあ!」
昌子『ただの 同級生の時もありますし。 御飯たかりに来ただけの 子ぉの時もあります。』