小原家
居間
千代「ほな すんません。 お先に 休まさしてもらいますよって どうぞ ごゆっくり。」
北村「おかあちゃん ゆっくり休んでよ。 お休みなさい。」
千代「お休みなさい。」
糸子「お休み。」
千代「お休み。」
糸子「…で 何や? 何か話あって 来たんやろ。」
北村「おう…。 あ 優子からよ。」
糸子「うん。」
北村「わいと ライセンス契約するちゅう話 聞いたけ?」
糸子「聞いてへん。 ほんまけ?」
北村「おお。 店開く時よ それが前提の融資やら 何か冗談で 言うちゃあったら 小原優子の名前が ほんまに売れたさかいのう 冗談や のうなったわ。」
糸子「ふ~ん そら 結構なこっちゃ。」
北村「来年辺り 東京 出るど。」
糸子「誰が? 優子が?」
北村「優子と わいも。」
糸子「ほんなん 何も聞いてへん。 悟さんは?『ええ』て 言うてんかいな?」
北村「うん… その前に あんまし うまい事いってへんど あっこ。」
糸子「はあ?! はあ… やっぱり ほうかいな。 道理で 今年の正月も 悟さん 顔 見せへんかったしな 気には なっちゃったんや。」
北村「優子の方はよう『もう 別れたい』ちゅうちゃった。」
糸子「熱い! ほんまかいな?! はあ~…。 熱い…。 ふ~ん。 ふ~ん…。」
北村「何や?」
糸子「あんた… 何で 急に 花なんか持ってきてん?」
北村「何がや?」
糸子「ふ~ん。 ふ~ん…。」
北村「はあ?」
糸子「分かってんや。 うちはな 昔から 人より疎いよって こういう事に。 せやけど… あんたら うちの目を盗んで なんちゅう事を…! おお?!」
北村「お前 何か勘違いしてへんけ?」
糸子「ああ?」
北村「わいと優子は できてへんど。」
糸子「え? そ… そう ちゃうんかいな?」