連続テレビ小説「カーネーション」第12回「運命を開く」【第2週】

「何じゃ? お前。」

糸子「小原糸子じゃ! そこの へたれの連れじゃ! おのれら こんなへたれ いびって 強なったつもりか? なんちゅう 腐れ根性しとるんじゃ!」

「わりゃ なめとんか!」

糸子「あっ 痛あ~。 うわ… 砂 入った。 待っとくれや。」

「おりゃ!」

糸子「うっ… ああ…。」

「ボケ! 腐れは おのれじゃ!」

「カス!」

勘助「あ… ああ…。 あ~! あ~! あ~! あ~! あ~! あ~! 待て~! あ~!」

町中

「ちょっと ちょっと… 糸ちゃん。」

小原家

小原呉服店

ハル「けんか? 女学生にもなって 何すんや?」

勘助「怒っちゃらんといて 俺のせいやさかい。」

ハル「はあ?」

勘助「俺が 学校の奴らに いじめられてんのを 糸やん かぼてくれたん。」

糸子「うっさい! 帰れ! 帰れ! 勘助のアホ! 帰れ!」

ハル「糸子 どないしたんや?」

糸子「帰れっちゅうてんねん!」

勘助「分かったて。 ほな 帰るさかい。 さいなら!」

子供部屋

ハル「糸子 お粥さん食べるか?」

糸子「うん…。」

ハル「どないや? まだ痛いんか? 女子が 腹 蹴られるて どういうこっちゃ?」

糸子「うちかて…。 蹴られとうて 蹴られたんちゃうわ。」

ハル「あんた 泣いてんけ? そんなに痛いんけ?」

糸子「痛ない! 悔しいんや。」

ハル「はあ?」

糸子「勘助に助けられてしもた。」

ハル「それが 何が悔しい?」

糸子「勘助に助けられるようになったら もう しまいや!」

ハル「アホか。 何が しまいやねん?」

糸子「あんな へたれかて… 男やちゅうだけで うちより 強なってまいよった。」

ハル「へたれが 強なったんや。 結構なこっちゃないか?」

糸子「結構な事ない! 何も 結構な事ないわ! 知らん間に 男らだけが どんどん 強なっていきよって うち 置いてけぼりや。 あんな へたれにかて 一生 勝たれへんのや。」

ハル「あんはは 女子や。 女子は 女子のやる事が あらしな。 あんたは ほれ… 裁縫。 裁縫したら ええわし。」

糸子「お父ちゃんが『あかん』ちゅうた!『アッパッパ 縫うたら あかん』て。」

ハル「ほなら ほかのもん 縫うたらええがな。」

糸子「嫌や! うちは アッパッパが縫いたいんや! 枡谷パッチ店で働きたいんや! ミシンは うちの だんじりなんや!」

(泣き声)

ハル「何や?『うちの だんじり』て。」

糸子「うちは だんじりにも乗られへん。 ドレスも着られへん。 ミシンも使えんで… 勘助にまで負けてしもたんや! もう しまいや!」

(泣き声)

ハル「ほれ!」

(泣き声)

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