リビング
糸子「何や これ?」
直子「あ 浩ちゃん そのままな そこ 下しちゃって。」
浩二「はい。」
直子「ゆっくりやで。」
浩二「はい。」
優子「ほんまに ゆっくり ゆっくりな。 そ そ そうそう。」
浩二「ほな 先生下ろします。」
直子「つかまって。」
浩二「ゆっくり!」
糸子「あ~! 何や このベッド? テーブル どないしてん?」
直子「とりあえず 奥 片づけた。」
糸子「2階に 布団 敷いといてくれたら ええちゅうたやろ!」
優子「せやけど お母ちゃん 2階に上がってしもたら トイレかて 1人で行かれへんやんか。 足の骨 折ってしいもてるんやさかいなあ。」
直子「朝一番に 入れてもうたんや。 介護用では これが 最新式らしいわ。」
糸子「介護用?」
直子「何かな リクライニング式になってて 背中も こう上げれるように なってんやて。」
糸子「こんなとこに こんな でかいベッド置いて。 テーブル なかったら 御飯 食べられへんやないか。」
孝枝「あの…。」
糸子「何や?」
孝枝「お向かいの にいちゃんが 先生にて これ。 えらい心配してくれてましたわ。」
糸子「ほんまけ? まあ そら 心配かけてしもて。 うん。」
糸子「うう~!」
優子「ちょっと お母ちゃん?」
孝枝「大丈夫ですか?」
直子「何してんや?」
優子「ちょっと?」
糸子「手ぇ貸し。」
直子「ちょっと どこ行くんよ?」
糸子「にいちゃん とこ。」
孝枝「ええ~!」
優子「あかん もう! やめとき!」
直子「松葉杖で歩くん 難しいんやさかい ウロウロせんでええて!」
糸子「医者に習うた。」
直子「え?」
糸子「礼 言いに行くだけや。」
優子「ちょっと!」
糸子「うちの好きにさせ! うう~!」
優子「ほな 浩ちゃん おんぶしちゃって。」
浩二「はい。」
糸子「せんでええ。」
浩二「先生!」