連続テレビ小説「カーネーション」第13回「熱い思い」【第3週】

台所

糸子「おばちゃん この匂い 何?」

玉枝「ええやろ? 今日の ごっつおの匂いや。」

糸子「ふ~ん。 変わった匂いやなあ。」

玉枝「う~ん。」

(2人の笑い声)

玉枝「勘助! 糸ちゃん 来たで~。」

居間

玉枝「来たで~ ごっつおが~!」

勘助「やった! もう腹ペコペコや!」

糸子「外国のごちそうて どんなん どんなん?」

玉枝「ほな いくで~!」

糸子「うん。」

玉枝「パッ!」

糸子「わあ~ 何や これ?! ごっつ うまそう!」

勘助「うまそうか? 何や けったいやん 色も匂いも?!」

玉枝「これをな こないして 御飯に かけてな…。 ほい!」

糸子「ああ! 頂きます~!」

勘助「お母ちゃん オラ 御飯だけでええわ。」

玉枝「何 言うてんや! せっかく作ったのに。」

糸子「ん? うまい。 ごっつ~ うまい!」

玉枝「せやろ~!」

糸子「うん!」

玉枝「ほれ。」

糸子「食べてみいって! うまいさかい。 そんな ちょっとやったら 分からへん! もっと ガバッといき!」

玉枝「男やろ?!」

勘助「うま~い!」

糸子「そやろ~? 言うたやろ~!」

玉枝「カレーちゅうねん よう覚えときや!」

糸子「もう カレー 一生忘れへんな。」

勘助「お代わり あるけ?」

玉枝「ああ 兄ちゃんの分もな 残しといたらな あかんさかい 糸ちゃんだけ お代わりさせたろ!」

糸子「やった!」

勘助「何でやねん?!」

小原家

子供部屋

(小鳥のさえずり)

糸子「朝や。」

<いよいよ うちが 枡谷パッチ店で 働ける日ぃが やって来ました>

(鼻歌)

静子「おはようさん…。」

糸子「早う起きや! もう朝やで。」

居間

糸子「おはようさ~ん!」

ハル「あれ えらい早いやんか。」

糸子「そらせや。 うちは もう 女学生と ちゃうやさかい 寝坊なんか してられへんわ! あ お父ちゃん おはようさん!」

善作「お前 働きに行くんやないぞ。 勉強や。」

糸子「分かってまっさ~!」

善作「勉強やで。」

<お父ちゃんは…>

善作「ええか 勉強やで。 勉強やと思うて 行きよ。」

糸子「へえ 分かってます。」

<『勉強やぞ』を 100回くらい繰り返してから やっと うちを送り出してくれました>

善作「勉強やと思うて 行くんやで!」

千代「糸子~!」

善作「お~い 勉強や!」

道中

糸子「手土産 何 買うたん?」

千代「忠岡堂のまんじゅうや。」

糸子「いや~ 奮発したなあ!」

千代「そら お世話になるんやさかい。」

糸子「あ~ うれしいなあ。 職人のおっちゃんら うちの顔 見たら 何て言うんやろ? 絶対 喜んでくれんで。 『糸ちゃん よう帰ってきたなあ!』て。 うち ごっつ かわいがられてん。」

千代「うん。」

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