連続テレビ小説「カーネーション」第3回「あこがれ」【第1週】

道中

糸子「お父ちゃ~ん! 払てもろたで~!」

善作「おう ほんまけ?!」

糸子「払てもろた!」

善作「でかした 糸子! ようやったで!」

糸子「うん! うち ようやった!」

善作「おう! ハハハハッ。 何や お前 まだ 赤ん坊のつもりかよ。 もう こんな大きいなってんのに。 ああ キュッ キュッ キュッや! キュッ キュッ キュッ キュッ キュッ キュッ キュッやで! ハハハ!」

♬~(『船頭小唄』)

♬『おれは河原の』

善作「どや? うまいか?」

糸子「うん!」

善作「ほんま お前が男の子やったら どんだけ おもろかったやろのう。」

糸子「えっ?」

善作「お前が 娘やのうて 息子やったら そらもう 着物の事も 商売の事も わしが 一から十まで きっちり 仕込んじゃったでえ。 お前ぐらいの 頭と根性があったら あっちゅう間に いっぱしの商売人に なれる。 ほんなら お前 わしと2人で 小原呉服店を 岸和田一の店に しちゃろやないかい。 ばんばん 上物 仕入れてな ぱっぱか 売って がっちり 集金。 おもろかったやろなあ!」

糸子「女かて できるで!」

善作「えっ?」

糸子「女かて 商売人になれる!」

善作「アホぬかせ。」

糸子「アホ言うてへん!」

善作「女はな ええところ 嫁に行って 婿はんに あんじょう仕える。 それが一番じゃい!」

糸子「何でやねん? 何で 女は そんな おもろないねん?」

善作「行くで。」

松坂家

(汽笛)

玄関

糸子「明けまして おめでとうございます~!」

松坂清三郎「おう ハハッ! 来ましたか ごんた娘が!」

糸子「来たで おじいちゃん!」

松坂貞子「明けまして おめでとうございます~。」

糸子「おめでとうございます おばあちゃん!」

3人「明けまして おめでとうございま~す!」

<お母ちゃん方のおじいちゃんの 家は 神戸にあります。 おじいちゃんの家は ごっつい 大きくて おせちも ごっつい豪華です>

ダイニング

糸子「その栗 うちのやで うちは 姉ちゃんやさかい 1個 多く食べても ええんやで。」

清三郎「どうや? 糸子。 おいしいか?」

糸子「うん おいしい!」

清三郎「そうか。」

糸子「こら 静子! その栗 うちのや 言うてるやん!」

静子「そやかて うち 栗 食べてへん。」

糸子「こら! うちのやて! うちのて 言うてるやろ! うちのやて! あかん!」

清三郎「こら! こらこらこら! けんか しなや。」

リビング

清三郎「ちゃんと 食べさしたっとんか?」

千代「食べさしてます。」

清三郎「あない 『栗 栗』言うとうやないか。」

貞子「やっぱし かいらしいなあ 女の子は。 うちにおる孫は 男ばっかしやろ しょうもないねん。 着物でも 何でも そっけのうて。 はい! あんたも 甘いもん お食べ。」

千代「あ~ チョコレート!」

貞子「あんた 好きやったやろ。」

千代「うわ~ うれしい!」

貞子「そういうたら こないだ ヨシオちゃん 来とったんやで ヨシオちゃん。」

清三郎「(せきばらい) それで… 今度は なんぼ 貸してほしいねん?」

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