連続テレビ小説「カーネーション」第3回「あこがれ」【第1週】

千代「えっ? あ…。 あの… 30円ばかし。」

清三郎「うん?」

千代「月末に 問屋の支払いが あるさかい どうにか お父様に… 都合つけてもろたら 助かるんやけど…。」

清三郎「う~ん…。」

貞子「そや 千代ちゃん。 ココアって 知っとう?」

千代「ああ。」

貞子「入れてあげよか!」

松坂正一「お母さん。」

清三郎「う~ん… そもそもや 何で お前が 毎回 借りに来んねん? 金の事や 善作君が来るのが 筋やろうが?」

千代「あ~ あの… どうしても… 商売の方が忙しいて。」

清三郎「はっ! 繁盛も してないのに どない忙しいねん?」

千代「う~ん?」

清三郎「う~んや ないがな。 お前が そんな ぼけ~っと しとるから 旦那が つけあがるんやないか。」

千代「はあ…。」

清三郎「ほんまに あの善作の かい性なしが! そもそも わしはな お前と あの男の結婚なんぞ 許した覚えは ないんやぞ!」

貞子「ハハッ。」

清三郎「何や?」

貞子「嫌やわ おとうさん 今更 そんな。」

清三郎「今更も へったくれも ない! わしは 断じて反対やったんや。 あんな 貧相な呉服屋の番頭に 誰が すき好んで うちの大事な娘 くれてやんねん。 あんな 駆け落ちみたいな まね せんかったら お前も こんな金の苦労せんで 済んだやろが。 うん?」

糸子「駆け落ちって 何?」

清三郎「あっ!」

貞子「あれ! 何もない。 何もないよ。 フフフッ。」

清三郎「おい どうだ? おなかいっぱい お食べになりましたか?」

糸子「食べた! おいしかった!」

清三郎「そうか! ハハハハッ。」

正一「そうか そうか。 あ…。 糸。 おい 勇!」

廊下

松坂 勇「はい!」

正一「ああ 糸子にな あの 何か 面白いもん 見せたり。」

応接室

勇「これは タイタニック号。 イギリスの 豪華客船やったんやけど 氷山に ぶつかって 沈没してしもてん。」

糸子「ふ~ん…。」

勇「なあ 糸ちゃん。 日本て どこか知っとう? これやで!」

糸子「あっ! 何 これ! きれえ! きれえな~! ああ…。 触っても ええ?」

勇「ええよ。」

糸子「ほんま!」

勇「あ… ほんまは ママに聞かんと あかんかもしれへんけど。」

糸子「ウワ~きれいな着物やな!」

勇「そんなんが 好きなん? ついといで。 もっとええもん 見せたるわ。」

糸子「要らん! うち これがええ。」

勇「ええから ついといで。」

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