河原
(鼻歌)
<やりました! 看護婦さんの制服 10着分! 取りました!>
小原家
小原洋裁店
糸子「あ… まずい。」
<よう見たら うちが約束してきた 制服の納期は ちょうど 祝言の次の日ぃでした。 けど 祝言の前に 仕上げてしもたら 済むだけの話です。 どないか なるやろ!>
(ミシンの音)
座敷
美代「ほう~ いや~ こら ごっつう上等やなあ! さすがやな 神戸のおばあちゃん。」
「フフフフフッ な!」
ハル「かなんで~。 糸子には 上等すぎるわ。」
「そやけど 一生に一回のこっちゃ。 神戸のおばあちゃんも うれしいんやで。」
ハル「そら もう この世の春みたいに 喜んでるし。 うちも 文句 よう言えなんだ。」
(笑い声)
美代「そらそうやなあ!」
「言うたら 罰 当たるわ もう。」
<膝は ほんまに やっかいでした。 こやつのせいで 思ったように 仕事が進みません>
台所
(小鳥の鳴き声)
千代「こんにちは!」
小原洋裁店
(ミシンの音)
「はれ?! 何や あんた まだ 仕事してんのかいな?! え~っ!」
糸子「先 行っとって。」
千代「え~っ?!」
ハル「ほんまに もう このアホは 何べん言うても 仕事 やめよらへんやし!」
千代「そない急がなあかん仕事なんか?」
糸子「う~ん。 まあ 時間には 間に合うように 行くよって 先 行っとって。」
ハル「知らん 勝手にせえ! もう 行こ行こ! ほっとこ!」
千代「え え~っ?!」
ハル「ほれ! あんたも はよ行かな 婿さんらが 来てまうで?!」
千代「へ… へえ。 ほな あとで… あとでな! あ~あ~。」
<あと1着… あと1着や。 落ち着いたら でける>
糸子「あ~っ ああ… 痛あ!」
吉田屋
(虫の鳴き声)
廊下
奈津「もう~ どうゆうこっちゃ?! なんで 花嫁が こんな遅れてんや?! もう~!」