連続テレビ小説「カーネーション」第5回「あこがれ」【第1週】

居間

善作「おい。」

千代「え?」

善作「何で 糸子は 外へ遊びに行かへんねん?」

千代「は?」

善作「いやいや いつも帰って来たら ビャ~ 飛び出して行くやないかい。 何で 2階で へばってんや? こんな 天気もええのに。」

千代「さあ~。」

善作「わいに しばかれて しょぼくれてんのちゃうか?」

千代「ああ そうですわ きっと。」

善作「何? ちょ ちょっと待て。 『そうですわ』は ないやろ! え! そもそもや お前が こう しっかりしてへんさかいに こないな事になんのや!」

<何で 女に生まれてしもたんやろ? 女は 男より弱ぁて だんじりも曳かれへん。 やりたい仕事も な~んもでけへん>

善作「お前が ぼ~っとしてるさかい。」

台所

<女が大人になったら 年がら年中 家におって 一日 男に叱られて。 それが済んだら 台所で いわしばっかり炊くんや>

ハル「熱っ!」

<嫌や! しょうもなさすぎる。 嫌や 嫌や! 女なんか ほんまに嫌や!>

子供部屋

糸子「(ため息)」

<何か おもろい事 考えよか。 おもろくて 楽しなってくるような事>

糸子「ちょっと 貸してみ。 姉ちゃんが ええもん描いちゃるわ。」

清子「ん?」

玄関

「こんにちは~!」

善作「へえ。」

「小原糸子さん宛ての荷物です。」

善作「糸子充てに お前の おふくろさんからや。 何ぞ 送ってきたんちゃうか。」

千代「うちから? へえ~。」

善作「はよ 持ってっちゃれよ。」

千代「後で… これ終わったら。」

善作「そんなもん ええさかい! はよ 持っていっちゃれよ!」

千代「へえ。」

子供部屋

糸子「シャ~ってなっててな ここが ヒヨヒヨ~ってなってんねん。 ドレムちゅうんやで。」

3人「ドレム?」

糸子「ほんまは もっと きれかったんやけどな。」

3人「ふ~ん。」

千代「糸子! 神戸のおばあちゃんが あんたに 何や送ってきてくれたで。」

糸子「おばあちゃんが?」

千代「開けてみいな。」

糸子「うちが開けてええの?」

千代「あんたのやさかい。」

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