連続テレビ小説「カーネーション」第7回「運命を開く」【第2週】

一同「うわ~!」

清子「わあ このアッパッパ ええなあ。」

静子「ほんまや 何や ちょっと ちゃう。」

糸子「そやろう? 三角や。」

清子「三角?」

糸子「ここに 三角 入れたんや。 そしたら こない ふわ~っと なんねん。」

静子「ええなあ うちも こんなん欲しい。」

清子「うちも!」

糸子「よっしゃ 作ったろ!」

清子 静子「わ~い!」

静子「ええなあ。」

清子「わあ かいらしい。」

糸子「ふわ~っ!」

夜中

ハル「あんた また こんな夜中に 何してんや?」

糸子「静子のアッパッパ 縫うてんねん。」

ハル「はよ寝り! そんな事してるさかい 寝坊するんやで。」

糸子「分かってる。 これ 終わったら…。」

ハル「あ か ん!」

糸子「ほんまに あと もう ここまで。」

ハル「あかん ちゅうてるやろ。 はよ寝りて!」

糸子「あ~あ…。」

糸子「ああ…。 そや。 宿題やってへんわ。」

<はよ 大人になりたいです。 はよ 大人になって 毎日 好きなだけ 裁縫できたら どんだけ ええやろう>

小原呉服店

「こんにちは。 お邪魔します。」

ハル「いらっしゃい!」

「こんにちは。 失礼します。」

<小原呉服店 ごっつ繁盛してます! …て 言いたいとこやけど 残念ながら これは お客さんと違います>

2階 座敷

<去年から お父ちゃんが 謡の教室を始めました。 この人らは そのお弟子さんです>

♬『ざらざらざ』

善作「ああ あ~あ まあ よろしいな。 もういっぺん いってみまひょうか。」

「はあ。」

善作「いつも 同じとこやで。」

「はい。」

善作♬『あなたへ ざらりい』

♬『あなたへ』

<お弟子さんからのお月謝が 稼ぎになるんと ついでに 着物も買うてもらえるん ちゃうかちゅう お父ちゃんの算段です>

「いや 今は お金ないし また今度な…。」

善作「酒井さん これ あててみる?」

「いえいえ。 わしんとこ こないだ 作ったばっかりやさかいなあ。」

善作「さよか…。」

小原呉服店

ハル「こない売れんと どないすんのや…。 糸子の学費かて まだ半分 残ってんのに…。 あと娘3人 おるんやで うっとこは…。」

善作「え~ ブツブツ ブツブツ…。 文句が あんやったら はっきり言わんかい!」

ハル「学費や。」

善作「ああ?」

ハル「あんたな 気前よう 娘 女学校 入れたかて 学費 払えなんだら やめささな しゃあないねんで。」

善作「じゃかましい! 分かっとるわい そのくらい!」

ハル「『はっきり言え』言うさかい 言うたんやんか!」

善作「じゃかましい! おい 千代 飯や! 飯 食うど~!」

千代「へ… へえ。 す… すんません。」

玄関前

「糸ちゃん お帰り。」

糸子「ただいま!」

「お帰り。」

糸子「ただいま。 ただいま~!」

子供部屋

糸子「よいしょ。」

(物売りの声)

善作『おい 糸子 帰ったか?』

糸子「うん もう…。」

居間

糸子「何? お父ちゃん。」

善作「集金 集金。 樋之池町や。 ちょっと遠いど。」

糸子「ええ~。 うち 裁縫したいねん。」

善作「口答えすな! どの口が言うとんや! 仕事が先や。 はい。 は~ 忙しい 忙しい!」

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