オハラ洋装店
「そらそやけど お母ちゃんかて 精いっぱい チビちゃんらに 気ぃ遣うたんやろにな?」
糸子「うん うちのお母ちゃんはな ごっつい気は遣うんや。 そやけど遣うたら 遣いっぱなし 遣たもんの あと片づけるて事せんよってな。」
「ああ なるほどな。」
糸子「昨日もな その子供らのん とりあえず どこ隠しとこちゅうて 布団の中 隠したと 思うんや。」
昌子「ご無沙汰してます~!」
糸子「布団の中やで! すぐ見つかんの 分かってんのにな!」
「そやなあ。」
(電話の呼び鈴)
昌子「おかげさまで うちは 元気にしてます~!」
糸子「何 のぼせてんや? 昌ちゃん。」
昌子「うっとこの先生が お世話になりました~!」
糸子「やかましなあ。」
昌子「ちょっと待ってください! 先生!」
糸子「はあ?」
昌子「周防さんです! はあ はあ!」
糸子「ごめん! おおきに。 はい 小原です。 お世話んなってます。」
2階 座敷
糸子「ん?」
珈琲店・太鼓
糸子「ココア 飲めんの? ほな ココア!」
店主「よっしゃ!」
糸子「こんにちは!」
周防「あ どうも。」
糸子「けがしたんですか?」
周防「はあ…。 まあ 大した事は なかとですけど。」
糸子「どないしたんですか?」
周防「足ん骨に ひびの入ったとです。」
糸子「ひび? 長かかるんですか?」
周防「医者には 1か月って 言われとっです。」
糸子「はあ~! 日雇いの仕事してんやて 組合長から聞きましたけど ほな それも でけへんのですか?」
周防「足の ひん曲がっても よかとなら やれって 脅されました。」
糸子「あ~。」
店主「お待たせ ココアです。」
糸子「おおきに。 いただきます。」
店主「はい どうぞ!」
糸子「何これ?! こんなん ココアちゃうで!」