連続テレビ小説「カーネーション」第9回「運命を開く」【第2週】

さよ「あっ 糸ちゃん! こっち こっち。 ヘヘヘッ。 おとうちゃん 糸ちゃん 来たで!」

枡谷「おう 来たか! そこ座り。」

さよ「はいはいはい。 よいしょ!」

枡谷「お前は あっち行けって 気ぃ散んねや。 邪魔や!」

さよ「はいはい。 ヒッヒッヒッヒッヒ!」

枡谷「あ~ あんなあ…。 何や? その… あんた 今 女学校 何年やったかな?」

糸子「2年や。」

枡谷「2年か…。」

糸子「うん。」

枡谷「こんな事 言うて 悪いと思うんやけどな。 あんた…。 うちへ 来えへんか?」

糸子「へっ?」

枡谷「いや 今すぐと ちゃうで。 卒業したらの話やな。」

糸子「つまり うちに…。」

枡谷「うん。」

糸子「『嫁に来い』っちゅう事?」

枡谷「何でやねん! うちには あの 肥えたおばはん いてるやんけ! そやのうて『うちの店で 働けへんか?』っちゅうこっちゃ。」

糸子「えっ! うち 雇てくれるん?!」

枡谷「うん。 あんた この仕事 好きやろ?」

糸子「好きや! そら 好きや! そやけど ええん?」

枡谷「何がや?」

糸子「うち 女やで。」

枡谷「かまへん! 男やろうが 女やろうが やる気があるんやったら わしゃ そんなん 気にせん。」

糸子「働きたい! うち ここで働けたら そら そない うれしい事あらへん。 うち ミシンかて 枡谷パッチ店かて ごっつい好きなんや!」

枡谷「ハハハハ! そやな。」

糸子「うん!」

枡谷「よっしゃ!」

安岡家

玄関前

勘助「おっ 糸や。 お~い! おろっ。 何やねん 知らん顔すんなや!」

糸子「お前かて 道で会うたら 知らん顔するやんか。」

勘助「なあ 上がってこいて。 粟おこし あんで。」

居間

糸子「こんにちは!」

玉枝「あ~れ 糸ちゃん。 久しぶりやな。」

糸子「うん。 あっ…。 奈津? あっ! あんた おばちゃんに 髪 結うてもろてんの?」

奈津「そうや。」

糸子「ぜいたくやな~! 芸妓さんみたいや。」

奈津「あんたと うちは 女としての値打ちが ちゃうねん。 比べんとって。」

糸子「ほうか。」

玉枝「糸ちゃん。 勘助 2階に いてるで。」

糸子「うん。 お邪魔します。」

玉枝「はいよ!」

勘助の部屋

糸子「女学校 やめちゃろか思てんねん。」

勘助「やめる? 何を?」

糸子「そやから 女学校や。」

勘助「女学校やめる? はあ? 何で?」

糸子「働くんや パッチ屋で。」

勘助「パッチ屋? へえ! パッチ屋で働くんけ?」

糸子「うん!」

勘助「ええなあ! 俺も やめちゃろかな 学校。」

糸子「アホか! お前は学校ぐらい出んと どないすんねん!」

勘助「はあ?」

糸子「おばちゃんがな 女手一つで 行かせてくれてんや。 やめたら うちが承知せえへんで!」

勘助「そやな… やめたらあかんやんな。」

糸子「何や?」

勘助「えっ?」

糸子「学校で 何か 嫌な事でも あんのか?」

勘助「えっ?」

糸子「誰かに いじめられてんか?」

勘助「何でやねん! 俺が いじめられる訳 ないっちゅうねん!」

糸子「ほんまか?」

勘助「ほんま ほんま。」

糸子「ふ~ん…。 言うちょいでよ。 いつでも 仕返し しちゃるさかいな。」

勘助「うん。」

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