あらすじ
昭和33年、直子(川崎亜沙美)が東京の服飾専門学校に進む日が近い。糸子(尾野真千子)は八重子(田丸麻紀)からディオールの最新デザイン、トラペーズラインの写真を見せられるが、肩から裾に広がるシルエットがアッパッパのようでよさが全く理解できない。北村(ほっしゃん。)から一緒にそのデザインの服を作ろうと持ちかけられるが、きっぱりはねつける。東京でバカにされまいと服や髪型に悩む直子は意外な服装で上京する。
104回ネタバレ
安岡家
安岡美容室
糸子「こんにちは!」
八重子「あっ 糸ちゃん! いらっしゃい…。」
糸子「うん? 何?」
八重子「ううん。」
糸子「ん?」
八重子「ああ いや ちょっとバタバタしててな。 ハハハ… ハハハ。」
糸子「誰なん? うん?」
八重子「いやいや…。 うっ?」
糸子「ほっ。」
八重子「ううん…。」
糸子「あ! あんた 何 パーマなんか あててんや?!」
直子「ええやんか! もう 高校も卒業したんやし。」
糸子「あ か ん!」
八重子「いや まあまあ 糸ちゃん。 直ちゃんかて せっかく 小遣い ためて 来てくれたみたいやし。」
糸子「あかんちゅうたら あかん! こんな すねっかじりが パーマなんぞ 100年早いわ!」
直子「せやけど こんな頭で 東京 行ったら『田舎者や』て ばかにされる!」
糸子「田舎者で 何が悪いんや? 岸和田より東京が偉いて 誰が 決めたんや? ああ? 言うてみ!」
八重子「あ~ もう お母ちゃんには かなわへんわ。 な! カットで かわいいしよか な! ちょっと あんたら ロット 外しちゃって。」
直子「もう~ 何で こんな時に来るんよ!」
糸子「あっ せや! こんなんで来たん ちゃうかった。 ちょっと 八重子さん よう見せて。 よう見せて。」
八重子「これ おかげさんでなあ『センスがようて モダンや』ちゅうて お客さんに評判なんやし。」
糸子「せやろ~? うちも ごっつい自信作や。」
八重子「おおきになあ。」
糸子「いや あんたらも よう似合うて…。」
「はい。 こんな ええのん 着られて うれしいです。」
<この春 八重子さんに頼まれて 安岡美容室の制服を一新ししました>
八重子「せや 糸ちゃん!」
糸子「ん?」
八重子「ディオールの最新のデザイン見た?」
糸子「見てない。 もう 何かに載っちゃあった?」
八重子「載っちゃあったんやけどな これが また ごっつい変わってんやし。 もう 見たら びっくりすんで。」
糸子「あれやろ? あの後釜の サンローランとかゆう 若造のデザインちゅう事やろ?」
八重子「そうそうそう それや それや…。 これ! これやねんけどな…。」
糸子「え… 何これ? こ… こんなん ただのアッパッパやん。」
八重子「せやろ? うちも そう思たんやし。」
糸子「うわ~ 全然ええ事ない。 何で こんなん したんやろ?」
八重子「トラペーズラインとかゆうらしいんやけど。」
糸子「トラペーズライン…。」
八重子「台形ちゅう意味らしいんやねん。」
糸子「台形…。 はあ~ あかんわ あの若造。 このサンローラン!『あんた こんなん ただのアッパッパやで!』ちゅうて 誰か 怒っちゃあった ええのにな。」
八重子「そやな アッパッパやねんな これ。」
玉枝「ほれほれ 直ちゃん これ。 これ 食べり。 なあ これ カリントウや。」
直子「おおきに。」
玉枝「大丈夫や 直ちゃん。あんたみたいな別嬪 東京 行ったかて 誰も ばかになんかせえへん。 たんと食べ。 なあ。」
<変なとこで 妙に気にしいの直子は…>
小原家
2階 座敷
糸子「あんた 荷造り まだ済んでへんけ?」
直子「服 ない。」
糸子「はあ?」
直子「東京に持っていける服 ない。」
<急に こんな事を言いだしたりします>