千吉「その菓子屋の娘ょお 雉真の嫁にしてえということか。」
稔「はい。」
千吉「おめえらしゅうもねえ。 そねん うちにとって 何の得にもならんこと。」
稔「父さん!」
千吉「1人暮らしが続いて 人恋しゅうなったんじゃろう。」
稔「そねんことじゃありません。」
千吉「頭を冷やして よう考ええ。」
橘家
お菓子司・たちばな
安子「稔さん 何で連絡くれんのんじゃろ…。 もう とっくに帰っとるはずじゃのに。」
きぬ「安子ちゃんのおっちゃんは 認めとらんからなあ。 どねんして呼び出すか 考えよんじゃねえ?」
安子「う~ん…。」
(電話の呼び鈴)
安子「はい 橘でございます。」
交換手『弓丘町の雉真様より お電話です。 おつなぎしても よろしいでsっようか?』
安子「はい! お願いします! (小声で)きぬちゃん!」
きぬ「(小声で)稔さん!?」
安子「はい!」
きぬ「(小声で)み の る! 違う 違う 違う!」
安子「はい はい。 え~ おはぎゅう 10ですね。 はい。」
きぬ「(小声で)こ う じ つ!」
安子「はい それから 安倍川餅と…。」
きぬ「(小声で)こ う じ つ!」
安子「口実?」
きぬ「(小声で)そうそう そうそう。」
安子「ああ! あっ いえいえ あっ…。」
雉真家
安子「ごめんくださ~い。 たちばなでございます。」
(扉の開く音)