おぐら荘
<おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ>
安子「よし。 るい。 ごはんにしようか。」
安子「どうぞ。」
安子「ん!」
闇市
安子「芋アメ いりませんか? 芋アメ どうですか? あっ 芋アメ いりませんか? おいしい甘え芋アメです。」
「ふ~ん。 ほな 一つもらおうか。」
安子「ありがとうございます。」
「どれ。 おおっ うまいな。 ほな ごちそうさん。」
安子「あの お代を!」
「何や 銭 取るんか。 わしは あんたが いりませんか言うさかい 食うただけやで。」
安子「そんな…。 払うて! 払うてちょうでえ!」
「う~ん しつこいなあ!」
安子「あっ!」
「あ…。」
「ハハッ 払たらええんやろ 払たら。 ほい。」
<芋アメは 簡単には売れませんでした。 それでも 夜なべして作るしかありませんでした>
おぐら荘
安子「るい ちょっと待ちょってね。 待ちょってよ。」
るい「あ~!」
安子「待ちょって言ようろう! ごめん…。 ごめん ごめん。」
<安子は不安でした。 るいを守り抜く自身が ぐらつきそうでした>
闇市
安子「芋アメ いかがですか。 芋アメ どうですか? 芋アメ どうですか? おいしい 甘え芋アメです。」
「おい 誰に断って ここで商売しとんねん。」
安子「えっ?」
「ショバ代払え言うとんじゃ こら!」
安子「すみません 私 よう知らなんで…。」
「おいおい おいおい おいおい。」
「おっ? 子連れのばばあか思うたら まだ若いなあ。」
「ハッハッハッハッ」
「ハハッ もっとええ商売 紹介したるで。」
安子「やめて! 離して! ちょっ… やめて!」
「おい!」