稔の部屋
安子「稔さん。 私 今日 初めて英語で話ゅうしました。 進駐軍さんが 道で困っとられてな。 ちょびっと緊張したけど 思い切って話しかけてみたんじゃ。 ちゃんと通じた。 相手のしゃべりょおることも ちゃんと分かった。 うれしかった。」
商店街
安子「ちょうど頂きます。 ありがとうございます。 今後とも ごひいきに。」
定一「お~い トロンボーン トロンボーンおらんか?」
「はい。 俺 吹けます。」
定一「よ~し。 ほい。」
♬~(トロンボーン)
定一「よし! 合格!」
「ありがとうございます!」
定一「そこの角のトラック乗れ。」
「はい。」
「俺も聴いてくれ。」
定一「あんたあ おえん。 何なら こねえだの演奏は。」
安子「定一さん?」
定一「はい。 あっ 安子ちゃんじゃ!」
安子「そうです!」
定一「安子ちゃんじゃ!」
安子「安子です! ご無沙汰しております。」
定一「ハハハッ うん。」
JAZZ BAR ディッパーマウスブルース
♬~(レコード)
定一「進駐軍にゃあ クラブがあるんじゃ。」
安子「クラブ?」
定一「ああ。 米兵の娯楽施設じゃ。 そこで演奏するバンドマンを わしが斡旋しとる。」
安子「この人らは?」
定一「レコードを聴きに来てる連中じゃ。 曲 演奏せえ言われても その曲をしらなんだら どねんしようもねえからのお。」
安子「ああ…。」
「マスター。」
定一「おう。」
「今んとこ もっぺん。」
定一「ああ。 これ! (窓をたたく音) シッ! あっち行け。」