病院
<しかし どこの病院に行っても 結果は同じでした 日常生活には何の支障もないのに トランペットを吹く時だけ 思うように 体が動かないという錠一郎の症状に 適切な診断と処置を与えてくれる医師は 見つかりませんでした>
笹川邸
リビング
奈々「また来てるわよ。 恋人なの?」
錠一郎「うん…。」
奈々「返事は書いたの?」
錠一郎「書けるわけない。」
奈々「困った人ね。 あなたは それでいいかもしれないけど。 女は それじゃ納得できないのよ。」
竹村家
竹村クリーニング店
(電話の呼び鈴)
和子「はい。 竹村クリーニング店でございます。 もしもし?」
錠一郎『あ…。』
和子「もしもし? もしもし?」
るい「おばさ~ん。 大根あると思てたのに あれへんから買うてきます。」
和子「ああ おおきに。 関東煮やのに 大根あれへんかったら おじさんが がっかり…。」
るい「(小声で)『あ…電話中…。 すいません。 行ってきます。』
和子「行ってらっしゃい。 もしもし。 もしもし? 切れとるがな。」