ひなた「お父ちゃんは 私の顔見て 膝に乗っけてくれて。 それで 一緒にテレビ見た。 時代劇やった。 それから毎日 お父ちゃんの膝で時代劇見てた。 かっこええなあ思た。 どの侍も。 私が見てきた侍は みんな… 強くて 優しくて…。」
回想
テレビ『江戸御免の向こう傷 旗本退屈男』。
回想終了
ひなた「絶対に泣いたりしいひん。 弱音なんか吐かへん。 こうと決めたことは 命懸けで やり遂げる。」
小夜子「高潔なんやね。」
ひなた「いや 血圧までは知らん。」
小夜子「あっ いや 高血圧やなくて…。」
ひなた「私は憧れてんねん。 そういう侍の生き方に。」
回転焼き屋・大月
森岡「あ~ え~っと…。」
錠一郎「あっ いらっしゃ~い。」
森岡「わっ! ご主人かいな。 …出直そ。」
錠一郎「うん そうしてくださ~い。」
一恵「こんにちは。」
錠一郎「ああ いっちゃん。 こんにちは。」
一恵「ひなちゃんは?」
錠一郎「入り。」
ひなたの部屋
一恵「はい。 これ ラジオ体操の景品。」
ひなた「えっ ええの?」
一恵「うん。 言うたら ひなちゃんの分もくれたわ。」
ひなた「わあ! いっちゃん ありがとう!」
一恵「皆勤賞はあかん言われたけど…。」
ひなた「ノートと鉛筆やろ? 別にええわ。 わあ~。」
一恵「こんなことやと思うた。」
ひなた「面目ねえ。」
一恵「ほら やろ。 手伝うてあげるさかい。」
ひなた「いや でも 侍は 見返りなんか…。」
小夜子「やろう。 3人でやれば すぐできるわ。」
ひなた「うん。 ありがとう! うん やろう!」