連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第64話「1965-1976」【第14週】

ひなた「あ~ もうええ! 余計 時間かかるわ!」

るい「ひなた。」

ひなた「お母ちゃん。」

るい「あんた それでええ思てんの?」

ひなた「えっ?」

るい「宿題せんと 遊びほうけて。 テレビ見て チャンバラばっかりして。 毎年 毎年 夏休みのたんびに おんなじこと繰り返して。 あげく お父ちゃんに泣きついて。 たった一つ続けとったラジオ体操まで 最後の最後に投げ出してしもた。 もう 宿題なんかせんでええ。 そのまま学校行って 先生に絞られなさい。」

回転焼き屋・大月

錠一郎「あんな強く言うたらんでも ええと違う? ひなた しょんぼりしてたよ。」

るい「あれくらい言わな分かれへんのよ。 あのままやったら この先 ひなた自身が困るんやから。」

錠一郎「そうかなあ。」

るい「そうかなって…。」

錠一郎「僕も 学校の勉強は ろくに せえへんかったよ。」

るい「自慢気に言うことやないでしょ。」

錠一郎「でも るいみたいな人が お嫁さんになってくれた。 何も困ってへんよ。」

るい「もうええ。 ジョーさんと話してたら 調子狂うわ。」

小夜子「こんにちは。」

るい「おいでやす。 ちょっと待ってね。」

小夜子「あっ いえ…。 ここ 大月ひなたちゃんのおうちですか?」

ひなたの部屋

ひなた「あ~ もう~。 う~ うっ… あ~! あっ あ~。 はあ~。」

るい「ひなた!」

ひなた「はい! はい!」

るい「お友達来てるよ。」

ひなた「えっ?」

居間

ひなた「藤井さん。」

るい「傘 返しに来てくれたんやて。」

ひなた「ああ。」

小夜子「ごめんね ずっと借りっ放しで…。 あれから すぐ おばあちゃんとこ行ってて…。」

ひなた「学校始まってからで よかったのに。」

小夜子「ホンマにありがとう。 うれしかった。」

錠一郎「ひなた。 上がってもらい。」

ひなたの部屋

ひなた「どうぞ。 散らかってるけど…。 座って!」

小夜子「手伝おか?」

ひなた「えっ!?」

小夜子「私はもう 全部できたから。」

ひなた「え… えっ そんなあ。」

小夜子「ええよ。 傘のお礼。」

ひなた「ホンマにええの? せっかくの夏休み最後の日 人の宿題の手伝いで潰してしもて。」

小夜子「ええよ。」

ひなた「あ…。 いやいや いやいや あかん あかん! やっぱり やめとく! 侍は 見返りなんか求めへんもんや。」

小夜子「侍…。 大月さん 何で そないに侍が好きなん?」

ひなた「何で?」

小夜子「いつから?」

ひなた「うちとこ ちょっと変わってるやろ。」

小夜子「変わってるて?」

ひなた「お母ちゃんが回転焼き焼いて お父ちゃんは 家にいてるのに仕事してへん。 幼稚園の頃は それで よう からかわれた。 電気屋の吉之丞とかに。 泣きべそかいて帰ってきたら 当のお父ちゃんがテレビ見てた。」

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