ひなたの部屋
ひなた「『マヤ… おそろしい子』。」
小夜子「ひなちゃん。 入ってええ?」
ひなた「うん? 小夜ちゃん? ええよ!」
小夜子「お邪魔します。」
ひなた「ああ。」
小夜子「ごめんね 急に。」
ひなた「ううん。 どうぞ。」
小夜子「ありがとう。」
ひなた「あっ お稽古の帰り?」
小夜子「うん。」
ひなた「おっ 何? ピアノ? 英語?」
小夜子「今日は お習字。」
ひなた「はあ~。 相変わらず いろいろやってんなあ。」
小夜子「うん… けど もうそろそろ 塾だけにしよ思てる。」
ひなた「えっ え… 小夜ちゃんも進学するん?」
小夜子「えっ うん。」
ひなた「四大?」
小夜子「うん。」
ひなた「あ~ みんな いつの間に そんなこと考えてたん。」
小夜子「いつの間にて…。」
ひなた「うん? 桃。 何か用事?」
小夜子「あっ 桃ちゃん。 入っといで。 ああ そっか。 桃ちゃん この春から小学生なんや。」
桃太郎「教えてほしい。」
小夜子「桃ちゃん 入学前から もう勉強してんの? 偉いね。」
ひなた「いや… 桃。 足し算やったら なんぼ何でも お姉ちゃんかて教えられるで。」
小夜子「構へん 教えたげる。」
ひなた「いやいや… そんなん悪いわ。 せっかく遊びに来てくれたのに。」
小夜子「私も勉強になるし。」
ひなた「勉強?」
小夜子「私 将来は 学校の先生になりたい思てんの。」
ひなた「ほう…。」
小夜子「教えてあげる。 どこ?」
桃太郎「ここ。」
小夜子「あっ ここね。 ここは… 『みんなで何匹ですか』。 まず…。」
荒物屋・あかにし
♬~(ラジオ)
ひなた「うわっ もう やめてえな ケチエモン…。 吉之丞。」
吉之丞「冷やかしやったら 帰ってや。」
ひなた「何で 冷やかして決めつけんの。」
吉之丞「貧乏人に帰るわけないやろう。」
ひなた「それも そやな。」
吉之丞「認めんのかい。」
ひなた「ホンマのことやさかい。」
吉之丞「張り合いないなあ。」
ひなた「うん? 店番? 珍しいな。」
吉之丞「親父が 今からやっとけって うるさいんや。」
ひなた「えっ 今からて?」
吉之丞「どうせ 店継ぐんやからて。 けど 俺は そないな気ぃないけどな。」
ひなた「えっ?」
吉之丞「そら そうやろ。 どんどん大きい電器屋出来て 安うに買えんのに こないな店継いで どないすんねん。」
電車
♬~(『おしん』のテーマ音楽)
車内アナウンス『次の停車駅は 帷子ノ辻 帷子ノ辻です』。
太秦映画村
<ひなたが向かった先は 映画村でした ひなたは 時々 この場所に来ます つらい時や 悲しい時 落ち込んだ時 何となく不安な時。 ここに来ると 何だか心が落ち着くのです>