一恵「ありがとう。 おばちゃん。」
一子「な~にが。 まだまだえ。 けど まあ 次のお茶会でお点前やるのは これで合格にしとこか。」
一恵「ありがとうございます。」
るい「いっちゃんは 卒業したら そのまま お茶の道に進むん?」
一恵「ううん。 短大受ける。」
一子 ひなた「えっ。」
一子「何で?」
一恵「何でて 別にええやない。」
一子「お母さんの手伝いしてた方が 茶道は身につくえ。」
一恵「お父さんは ええ言うたもん。」
一子「あかん! 短大なんか。」
一恵「何で?」
一子「どうせ 勉強もしんと 遊び歩いて 留年すんのがオチや。」
一恵「何で そんなん分かるん。」
一子「分かるんや。 お母さんには。」
一恵「せやから 何で?」
広場
一恵「もう。 何で お母さんに決められなあかんのよ。」
ひなた「えっ いっちゃん どこの短大行くん?」
一恵「どこでも ええんや。」
ひなた「えっ?」
一恵「ちゃんと考える時間ほしいだけ。」
ひなた「考えるって?」
一恵「ホンマに お茶の先生になるんかどうか。 茶道の家の一人娘やからいうて 勝手に人生決められたないわ。」
ひなた「なるほどなあ…。」
一恵「ひなちゃんは?」
ひなた「えっ?」
一恵「進学するん?」
ひなた「さあ…。」
一恵「『さあ』て。 私ら 3日後には 高校3年生やで。」
ひなた「それは そうやけど…。 あっ! それ! もう出たん?」
一恵「うん。」
ひなた「えっ マヤと亜弓さん どうなった?」
一恵「ここんとこ マヤと亜弓さんいうより アルディスとオリゲルド どうなった いう感じやわ。」
ひなた「借りてええ?」
一恵「うん。」
ひなた「ありがとう。」
大月家
回転焼き屋・大月
「おおきに。」
「やった~。 早く帰って食べよ。」
桃太郎「ただいま。」
るい「お帰り。」
錠一郎「ただいま。」
るい「桃太郎。 野球どうやった?」
桃太郎「楽しかった。」
錠一郎「おにいちゃんらに優しくしてもろたな。」
桃太郎「うん。」
るい「そう よかったな。」
桃太郎「おなかすいた。」
るい「今 新しいの焼くさかい 手ぇ洗といで。」
桃太郎「は~い!」
錠一郎「筋がええって褒められとったわ。」
るい「ホンマ?」
錠一郎「うん。 よかった。 僕やなくて るいに似て。 ベリー 元気やった?」
るい「ああ うん。 すごく…。」
錠一郎「えっ 何?」
るい「いや 一子さんがな いっちゃんに 短大なんか行くな 遊び歩くのがオチや言うて…。」
錠一郎「いやいや… どの口が言うてるんや。」
るい「フフッ ねえ。」
桃太郎「お母ちゃん 回転焼き頂戴!」
るい「ちょっと待っとき。」
桃太郎「はい!」
小夜子「こんにちは。」
るい「小夜ちゃん。」
錠一郎「あ~ いらっしゃい。」
小夜子「5つ くれはりますか。」
るい「は~い。 いつも ありがとう。」
錠一郎「ひなた いてるで。」
小夜子「あっ ホンマですか?」
るい「上がっていき。」
小夜子「お邪魔します。」
るい「は~い。」